西郷を論じる思想家たち

西郷隆盛(1828~77年)

に関する多くの著作が出版される中

各時代の思想家が西郷を

どう論じてきたかを振り返る

『未完の西郷隆盛』(新潮選書)が

刊行された。

発売前に重版が決まるなど好調で

著者の先崎彰容・日本大教授は

『我々の150年の悲喜こもごもが

西郷一人をだしにすることで

見えてくる。西郷には、

多くの思想家が論じたくなる

広がりや懐の深さがある』と話して

いる。(読売新聞 文化部 小林佑基)


思想界での

西郷の位置付けは、

時期によって異なるという。

戦前は右翼に担がれ、

それ故に戦後は左翼に批判された。

1960年代以降は日本の高度成長の

行き過ぎなどを批判するための

存在として再び肯定され、

70年代に入ると近代化自体が問い直され

その原点を体現する人物として

再び疑問符がつけられるようになる。

そして現在は

みたび肯定されるようになったと

説明する。




だが、

西郷の理想視には、

結果よりも心情の純粋性を重んじる

心性を含んでおり、

注意も必要と指摘する。

西郷がよく使った、

天は人々を分け隔てなく

愛してくださるから

自分を愛する心を持って

人を愛せよと説く

『敬天愛人』に、

天という基盤がなくなれば

自己絶対化につながる可能性が

あるからだという。

日本人に親和性が高いこの心性には

テロリズムにつながる可能性すら

あるとする。