【日本経済新聞12.28/ 春秋】

来年は明治維新150年という。

政府は記念事業を行う方針らしく

菅義偉官房長官は

『明治の精神に学び

日本の強みを再認識して次世代に

残すことは極めて重要』と

記者会見で述べている。

その伝でいえば、今年は江戸幕府の

統治が崩れ150年の節目でもあった。

◆260年続いた

『パクス・トクガワーナ(徳川の平和)』

の終わりである。末期になるに従い

政策の変遷は激しく、

財政や金融の不安定さは顕著になった。

長くツケを放置し

その場しのぎで

取り繕っていたところへ

黒船の外圧も加わり、

国内は揺れに揺れた。

種々の『派』が対立、

多くの尊い命も犠牲になっている。

◆維新の節目に自らを肯定する意義を

見いだすのもよい。

けれど、入り乱れる利害の調整や

痛みを伴う改革を避ければ、

どれほど混乱を来すか。

幕末にも目を向けねばなるまい。

人材面でも教訓はある。

評論家の野口武彦さんは

『平成の晋作、龍馬』を

気取る人はいるが、

井伊直弼になろうと言う政治家がいない

と記した。

◆井伊の評価は様々だ。

一面では心ならずも

日米修好通商条約を調印し

国内の混乱の責任を

一身に負ったのも事実だろう。

野口さんは

『現代日本が必要としているのは

井伊のようにあえて泥をかぶるのを

辞さない政治家ではあるまいか』と言う

カクメイを連呼し

目先だけ変えているようでは

革命も維新も遠ざかるだけだ。