天皇陛下[お言葉]1年

退位時期  悩む政府

18年末か19年3月末か

【日本経済新聞8月8日】

天皇陛下が退位の意向をにじませた

お言葉を発表して8日で1年がたつ。

政府は懸案の内閣改造を終え、

退位と改元の期日の決定に向けた

調整を本格化させる。

[2018年末退位・19年3月末退位・

19年元旦改元]か

[19年3月末退位・4月1日改元]の

2案に悩むなか、

来夏を想定していた期日の公表時期を

年内に早める可能性も出てきた。

今後の重要な政治日程も政府の判断に

影響を及ぼしそうだ。


陛下は昨年8月8日に

ビデオメッセージで[次第に進む身体の

衰えを考慮する時、全身全霊をもって

象徴の務めを果たしていくことが

難しくなるのではないかと案じている]

などと表明された。

今年6月に成立した退位を実現する

特例法は、退位日となる法律施行日を

[公布日から3年を越えない範囲で

政令で定める]と規定している。

首相が三権の長や

皇族らでつくる皇室会議の意見を

聞いて決める。

菅義偉官房長官は7日の記者会見で

[特例法の施行に向け遺漏のないように

しっかり準備をしなくてはならない]

と強調。[陛下の退位は準備が

必要なことがたくさんある。

退位後のサポート計画、

お住まい、

元号の改正など多岐にわたる。

適切に検討を進め最善を尽くしていく]

と語った。

退位と改元の時期を巡り政府は当初

陛下の退位と皇太子さまの即位を

18年末、改元を19年元日とする

案を軸に検討を進めてきた。

年の途中で改元した場合、

和暦の表記で混乱が生じるため、

暦と年号を一致させ

国民生活への影響を最小限に

抑えるのが狙いだ。

だが宮内庁はこの案に難色を示している

年末年始は重要な皇室行事が続き、

退位と即位の儀式を執り行うのは

困難との見方を首相官邸側に伝えた。

陛下は

12月23日に誕生日祝賀行事、

25日に大正天皇例祭に臨む。

年明けも元日から新年の五穀豊穣と

国民の安寧を祈る[四方拝]、

皇族や三権の長、

外国大使らと面会する

[新年祝賀の儀]のほか、

[新年一般参賀]

[講書始の儀]

[歌会始の儀]など諸行事が中旬まで続く

19年1月7日は

昭和天皇死去から30年の節目となる

式年祭を予定している。

安倍晋三首相の支持基盤でもある

保守層からは、陛下が天皇として

儀式に出席されることを望む声も

上がる。

このため政府内では19年3月末に

陛下の退位と皇太子さまの即位を

執り行い、年度替わりの4月1日に

改元する案が上がっている。

年末年始に比べて行事が少なく、

陛下や皇太子さまの負担も軽減される。

政府は退位と改元の期日をいつ

公表するのか。

当初は来年の通常国会後の夏を

想定していたが、年内に前倒しする

動きがある。新元号の発表は改元の

数ヶ月前との見方がある。

それでも退位と改元時期の公表を

早めれば、元号を取り扱う業者など

国民生活への影響も抑えられる。

政府高官は

[準備は1年もあれば十分だ]と

指摘する。

公表時期の前倒しには政治日程が

絡んでいるとの見方もある。

来年9月は自民党総裁選があり、

12月には衆院議員が任期満了を

抑え、衆院解散はいつあっても

おかしくない状況だ。

首相が憲法改正の実現を視野に入れる

場合、国民投票の日程もそじょうに

載ってくる。政府内には

[重要な政治日程の前に公表した方が

いい]との声もある。

退位や即位の儀式、

宮内庁の組織改正などは

予算とも関連する。

宮内庁では

[退位の時期が早く決まったほうが

準備がスムーズに進む](幹部)との

意見が多い。政府の来年度予算案が

固まる今年12月に計上項目を間に

合わせるため、今秋にも

皇室会議の開催を求める意見が

強まっている。