【日本経済新聞5.25/春秋】

学生が角材や火炎瓶を手に機動隊と

激突する。そんな時代があったと聞いても

若い人には実感がわかないかもしれない

だが団塊の世代であれば様々な光景が

目に浮かぶはずだ。

東大安田講堂の攻防や羽田、成田の闘争

その一つが1971年に起きた渋谷暴動で

ある。

◆沖縄返還協定の批准阻止を訴える

学生らが機動隊や派出所を襲い、

警察官が死亡した。

この事件で指名手配されていた

過激派の活動家とみられる男が、

実に46年目にして広島で逮捕された

疑いが事実であれば、犯した罪から

逃れることはできない。

容疑者を歴史の闇から引きずり出す

ための調べは、これから本格化する。

◆指名手配どころか、容疑者が特定できず

未解決のままになっている事件は

コールドケースと呼ばれる。

こちらもDNA型鑑定の精度が向上し

微量な残留物の分析が可能になった

ことで昔の事件が突然解決へ

動き出す例がみられるようになった。

最近では警視庁で容疑者逮捕が

相次いでおり、科学捜査の進展を

感じさせる。

◆とはいえ、

詰めの捜査はくれぐれも慎重に

お願いしたい。なにしろ古い事件で

あれば、証拠の散逸や記憶の薄れなども

危惧される。万一、我が身に覚えの

ない疑いがかけられたら、と思えば

恐ろしい。

[犯人でないというなら30年前のあの日

どこで何をしていたのか]と

問い詰められても、

どうしていいのか分からない。