日本書記には685年、

天武天皇が博戯を見物したとある。

すごろくなどだったらしい。

当時は牛馬が賭けられたという。

しかし、

次の持統天皇の代には早くも

禁令が下る。

その後、つえで百度打つといった

罰則も定まった。

万葉の昔から賭博は人を

惑わせたのだろう。

中世、ばくち打ちは特異な能力を

備えた[職人]とされた。

[負けが込んで来て、

あるだけ賭けるというような

相手とは勝負するな。

向こうに勝機が移ったと思え]

と引き際の戦略が徒然草に

紹介されている。

こんな戒めが今に残るということは

勝ちに酔って潮時を間違え、

身を持ち崩した人もさぞ多かったに

違いない。

[カジノ法案]が衆院の委員会を

通った。成立すれば、施行後1年以内を

メドに政府は必要な法制上の

措置を取るという。

数年後、日本のどこかにカジノが

立つ可能性がある。

競馬や競輪にパチンコと手軽な

ギャンブルがあり、依存症の疑いが

ある人は536万人に上る。

そこへルーレットやカードを使う

真打ちの参入だ。

大相撲の元関脇、

貴闘力忠茂さんは、

現役時代から競馬などに熱中し

ついに違法な野球賭博に手を染め

角界を追われた。

家族とは離ればなれになっている

つぎ込んだ金は5億円にもなるそうだ

今は焼肉店経営の傍ら、

講演で病気の怖さを説く。

地域活性化の看板の下で、

人々の将来をむしばまないように

望みたい。

[日経/春秋2016.12.3]