貫いた攻めるゴルフ

A・パーマー氏死去

[ビッグ3]の一角

[日本経済新聞927〔評伝〕]

パーマー氏(享年87)はファンに愛された

ゴルファーはいないだろう。

彼が大会に出場すると何千人もの

ギャラリーが追いかけ

[アーニーズ・アーミー(軍団)]と呼ばれた。

1958年から64年までの7年間で

マスターズ4勝、

全英オープン2勝、

全米オープン1勝とメジャー7勝をマーク。

中でも伝説的な勝利が60年全米オープン

(コロラド州チェリーヒルズCC)だ。

首位と7打差の15位タイで迎えた最終日。

1番(パー4)をドライバーで1オン

2番はチップインの離れ業で

4連続バーディーの快進撃を見せ65と

猛チャージ、大逆転優勝で同年春の

マスターズに続くメジャー2連勝を飾った。

パーマー氏の組に殺到したギャラリーは、

興奮のるつぼと化したといわれます。

60~70年代には

ジャック・ニクラウス氏(米国)

ゲーリー・プレーヤー氏(南アフリカ)と

共に[ビッグ3]と呼ばれ、名勝負を演じた。

大きな手、肩幅は広く

筋骨隆々の体を弓のようにしならせて

ボールをひっぱたく。

フィニッシュの高い独特の華麗な

スイングで

[グリーンが見えさえすれば

必ずカップインできる]が

ゴルフ哲学。

チャレンジャー精神にあふれ

[絶対勝つと思ったら、勝つ]と

言い放った。攻撃的で勇猛果敢な

プレーはファンを魅了、

タイガー・ウッズ氏らに受け継がれている

弁護士でスポーツマネジメント会社IMGの

創設者でもあるマーク・マコーマック氏と

手を携えゴルフの大衆化に貢献。

ゴルフ人気に火をつけた[国民的ヒーロー]

傘のマークのついたウエアは70年代、

テレビCMなどを通じゴルフに関心のない

日本の中高校生にも人気を呼び、

パーマーの名は知れ渡った。

筆者が最後に姿を見たのは

2012年マスターズ開幕日の朝。

[ビッグ3]で大会恒例の名誉スターターを

務めたときだった。7時の開門前から

行列をつくったパトロンの前で、

往年の余韻を残すスイングで

ティーショットを打った瞬間、

ひときわ高い歓声があがった。

[ビッグ3]の中でもやはり人気は随一。

陽気な笑顔で、全身から輝かしいオーラを

放っていた。リオデジャネイロ五輪で

112年ぶりに競技復活して1か月、

ゴルフ界の[太陽]が静かに沈んだ。

(編集委員 吉良幸雄)