Sports&Business

〔日本経済新聞9月15日

13 スポーツ2 3版〕

誰のための五輪か

(米国ゴルフツアージム・マッケイブ)

112年ぶりにゴルフが競技として

復活したリオデジャネイロ五輪が終わり

今季の米国ツアーもプレーオフの最終戦を

残すのみ。ところが、今なお、五輪出場を

辞退する選手が続出したことへの

是非が議論されている。

今回、ジカ熱の流行、過密日程などを

理由に多くのトップ選手が出場を見合わせた。

すると、五輪を軽視されたと感じたか、

ゴルフの五輪競技復活に尽力した

国際ゴルフ連盟などは、

欠場した選手らをゴルフという

スポーツに敬意を欠くなどと非難した。

随分感情的だが、その批判こそ良識を欠く

選手らは

ゴルフを軽視などしていないし

発展のことも真剣に考えている。

五輪への関わり方は自由があって

しかるべきだ。金メダルを獲得した

J・ローズ選手(英国)もこう口にする。

[この世界では

自分が自分のボスだ。

何をしても構わない。

時には批判と向き合わなきゃいけないけど]

ローズはこれまで

出場を辞退した

J・デー選手(オーストラリア)

J・スピース選手、D.ジョンソン選手(米国)

R・マキロイ選手(英国)らを

批判したことはない。

他も他選手が下した結論を

理解しているのだ。

それでも出場したことで

愛国心とゴルフに対する情熱が

あったから、などと美化され、

五輪でゴルフ競技が成功したという

宣伝に利用されることに、むしろ

違和感を覚えているのではないか。

出場辞退した選手の多くは、

今も決断が正しかったと疑わない。

スピースこそ、

[テレビ中継を見て、あそこで

プレーしたいと思った]と口にしたが

デーは

[後悔していない]と話し、

[僕と僕の家族にとって、

それが最善の決断だと判断した]と

強調しました。

目下、プレーオフ制覇に一番近い

ジョンソンなど

[リスクをおかすほどのことではなかった]と

言い切る。

そもそも五輪に参加した選手が

後悔を口にする。

[できればこの時期、

もう少し力を残しておきたかった]

とローズ。

彼は五輪のあと、

1週間だけ母国に戻り、

すぐにプレーオフに駆けつけている。

[僕だけじゃない。(五輪に出た)

選手たちは同じさ]

五輪のゴルフを否定するつもりはない。

ただ、ジカ熱の問題、過密日程への

不満に対し、

国際ゴルフ連盟などは

五輪軽視とひとくくりにし、

選手の声を封じた。

自分らの声が届かなくなるのに伴い、

選手らは五輪の価値観も

見失ってしまったように映る。

誰のための大会なのか。

東京五輪に向け、

多くの課題が残りました。

(米国ゴルフウィーク誌ライター)