海外資産相続申告漏れ増加

【各国と連携し監視】

〔日本経済新聞9月5日〕

国税指摘、2014事務年度177件

☆海外にある不動産や株式などを

相続したのに相続税を適正に申告していない

件数が増えている。

日本経済新聞が

国税庁に情報公開請求し入手した

資料で判明した。

海外案件について積極的に調査を

実施している国税当局の方針などが

背景にあるとみられる。

資料の名称は

〔海外資産に係る処理状況〕

資料によると、

国税当局が海外資産に関連して

相続税の申告漏れを指摘した件数は

2012事務年度(12年7月~13年6月)が

156件、13事務年度が168件、

14事務年度が177件と年々増えている。

申告漏れの原因とされる

海外資産のある地域(14事務年度分)は

北米が80件と最も多く、

東アジア36件、

欧州27件と続いた。

申告漏れが指摘された資産総額は

12事務年度が27億円、

13事務年度が163億円、

14事務年度が45億円だった。

財産別では預貯金や株式などが

多かった。海外不動産を除外して

相続税を申告し、重加算税を含めて

約1200万円を追徴されたケースがあった。

過去には父親が生前に海外の

金融機関に保有した預金などを

自分(相続人)の海外口座に移管するなど

していたのに相続税の申告から除外し

約6600万円を追徴されたケースもある。

海外への送金記録などが

端緒となり、国税当局が把握する事例が

多いという。

〔国外送金等調書〕制度により

1回100万円超の

海外への送金や海外からの入金について

金融機関はその中身を税務署に

提出しているためだ。

また、国税庁は富裕層の課税逃れを

防ぐため、14年から海外に合計で

5千万円超の財産を持つ人に

〔国外財産調書〕の提出を義務付ける

制度を導入した。

迫田英典・国税庁長官は

〔各国の税務当局との連携や

体制充実などを図り、問題のある

取引があれば税務調査を

しっかり実施する〕と述べている。

国税OBの税理士は

〔海外資産なら日本の当局には

把握されないだろうという意識が根深い〕

と指摘する。

その一方で

相続税に詳しい専門家は

〔国税当局に申告漏れを

指摘されるようなケースは

非常に単純なスキームなのではないか〕

と話す

海外資産に関連し

法人の役員や株主を

第三者名義で登記できる

〔ノミニー制度〕などを

複数使うことで、

日本の国税当局に把握されないように

海外資産を保有するケースもあるという