[日本経済新聞/春秋]←

<2016.3.3>

『ヤンキーが来る!』

といっても、改造バイクに

乗ったやんちゃな若者の

ことではない。

南北戦争に翻弄される

米国南部の女性、

スカーレットの半生を

描いた

[風と共に去りぬ]の一節で

ある。

ヤンキーとは北軍の

兵のことだ。

1865年、終戦を迎え

奴隷制度も終わった。

★米国では『内戦』と呼ぶ。

技術革新の波に乗って

工業化が進む北部と、

綿花や砂糖などの

プランテーションが根付く

南部の利害の対立が

背景にあったとされる。

62万人にも及ぶ戦死者は、

独立戦争からベトナム戦争まで

8度の対外戦争の死者の

総計58万人より多い。

当時の米国は

かなり深刻な『分断』の

瀬戸際にあったのだ。

★大統領選挙の天王山

スーパーチューズデーに

150年後の『分断』の

一面が感じ取れる。

同じ党内でさえ候補の

主張が大きく違う。もし、

共和党がトランプ氏、

民主党はクリントン氏の

指名となれば、

ものの考え方から

政治経験まで正反対の

2人の一騎打ちだ。

選挙後、不満のマグマが

噴き出したりしないかと

心配になる。

★南北戦争後、

米国は欧州から

多くの移民を迎え、

好況期に入った。

『金ぴか時代』という。

やがて、世界の覇権を

握るに至ったが、

曲折を経て今や手から

こぼれ落ちそうだ。

赤い舌の伸びる南シナ海や、

もつれた中東情勢は

誰に委ねられるか。

投票権はないが、

結果が大いに波及してくる

我々としては

固唾をのむしかない。