生まれたばかりの

未来の英国国王を抱いた

キャサリン妃が着ていた

ワンピースが、水玉模様でした

奇しくも、義理母にあたる

故ダイアナ妃が

同じ場面で着たワンピースも、

水玉。無意識のうちに

幸福なオーラの影響を

受けたのか、新調した

ワンピースには、

つい水玉柄を選んでいました

水玉はポルカドットとも

言いますが、

ポルカはダンスの一種。

ポルカを踊るかのように

リズミカルに並んだ玉(ドット)と

いうことなのです

永遠の定番柄ですが、

昨年あたりからは

「モードな」流行柄でも

あります。

現在のトレンドの発信源は、

前衛芸術家にして

国際的なセレブリティー、

草間彌生、84歳

アートと

ファッションの融合という

最近のファッションビジネス界の

流行を1960年代のニューヨークに

おいて、すでに先取りしていた人

です

昨年、ルイ・ヴィトンとの

協業で再び水玉ブームを

起こしたのをはじめ、

化粧品、

車、

家具等

多分野での協業が続き

その水玉世界はあらゆる境界を

越えて広がっています

(文、一部省略)

それにしても、何故、水玉?

彼女はこのように表現します

「水玉は、

世界と生命のエネルギーの

象徴たる太陽の形。

そして穏やかな月の形。

まるく、やわらかく、

カラフルで、

知識も自意識ももたない水玉が

たくさん集まると、

動きが生まれる

ポルカドットは

無限に通じる道なのだ」

もとはと言えば、

繰り返し襲われる

幻覚や幻聴から

逃げるようにして

描きはじめた水玉。

それは世界と、

御しがたい自分自身の

「病」と、

闘うための切実な武器でも

ありました。

孤独で壮絶な闘いの果てに

創造された、無限に広がる

水玉世界。

狂気すれすれの底知れぬ

闇から浮上した

ポップな生命賛歌の空間

そこへ手招きする

「かわいい」巫女、

草間彌生は、

一流ブランドが束になっても

かなわない圧倒的な

存在感で私たちを妖しく

魅了するのです。

(服飾史家、

エッセイスト中野香織)

【2013年8月21日】より掲載