ニッセイ・バックステージ賞を受賞した
歌舞伎のツケ打ち
芝田 正利さん(69)
歌舞伎俳優がキッと見えをきる瞬間に
「バッタリ」。
花道を駆けて引っ込む時は
「バタバタ・・・・」
ここぞの場面でケヤキの板にカシの木を打って
音を出すのが、ツケ打ちだ。
「音の大小や間で、すべてを表現する。
ただの音響ではなく、時に役者を大きく見せ、
武士か町人が、男か女か、大人が子供かまで、
音で芝居を作りあげるのです」と、
自らの役目を語る。
スポットはあたらないが、舞台の隅で姿勢を正し、
日々の芝居をもり立てる。
この道一筋の働きを認められ、
舞台の裏方を表彰する
「第19回ニッセイ・バックステージ賞」を受賞されました。
東京の下町は深川の生まれ。
「ツケを打つ時は左、右、左、右・・・・」と、
東京っ子の発音が交じる。
兄が歌舞伎の大道具を手がけていたことから、
22歳でツケ打ちの道へ。
25歳で初舞台。
その後も厳しい修行に耐え、自らも3人の後進を育てました。
常に小さな自戒の札を懐に忍ばせる。
「愚痴らず、こぼさず、腹立てず、ただただ笑顔」。
謙虚でありつつ、音の職人としての矜持も伝わってくる
文言と言えよう。
(讀賣新聞 (顔)より)