国技館に都市伝説
不可思議な体験談
本紙記者も「押し出し」?
大相撲夏場所が12日から始まりました。「夏」のお話と言えば・・・・
実は、国技館(東京・両国)って、不思議な現象の体験談が、あれこれあるんです。
もちろん、「原因」は解明されていません。この話、あなたはどう思いますか?
国技館の向正面には、東西の支度部屋がある。
土俵から支度部屋に通じる通路が、「花道」だ。東の花道の奥に、記者室がある。
3年前の12月。夜8時過ぎ、私は記者室を最後に出ることになった。
最後の記者が鍵を閉めるのがルール。
記者室の外に出てから、「おっと、忘れるところだった」と部屋に戻って
鍵を取り、施錠して、漆黒の花道に向かって1歩、2歩と歩き出した。
その時。
大きくて弾力のある、バレーボールのようなもので、背中をグっと押された
感覚がした。突然のことによろけた。誰かのいたずらだと思い、
「オイッ!」と笑って振り返ると、無人の闇が広がっていた。
カバンを抱きしめ、土俵わきを突っ切り、数人が残業していた
事務所に駆け込んだ。
血相を変えた姿に、事務員や警備員が集まってきた。
説明すると、驚くどころか、みな腕を組み、「うん、うん」と頷いている。
そして、こんな声が。
「でも、東の花道は初めてだよね」
思わぬ証言に「えーっ」と仰天した。
「トイレで後ろから引っ張られた」
「誰もいない支度部屋で稽古の音が」
「あそこの地下階段で・・・・・」
彼らによると、国技館の向正面周辺では、これまで数え切れないほど、
不思議な体験が語られている。
ただ、国技館という場所を除き、全てに共通する特徴があるわけではない。
これという要因も、はっきりしない。
誰もが感じるというものではなく、一笑に付す人もいる。
両国周辺は、震災や戦災も含め何度も災禍といえば、
1657(明暦3)年の「明暦の大火」(振り袖火事)だ。
江戸城も含め、江戸の市街地の大半が焼失し、
10万人が亡くなったともいわれる。
いまの国技館の周辺は、身元の分からない遺体を
安置する場所の一つだったと伝えられている。国技館に
ほど近い回向院は、大火の犠牲者の供養のために建てられた。
その回向院で始まった勧進相撲が、いまの大相撲につながった。
知る人ぞ知る話ではあるが、そんな歴史に思いをはせ、
国技館という厳かな雰囲気の中で不思議な現象が起きたかのように
錯覚してしまったという可能性も、あるのかもしれない。
ちなみに、北の湖理事長は散歩が大好きだ。
本場所中も、暇さえあれば館内を歩き回っている。
ただし、向正面を避け、馬蹄形のような形で往復している。
その理由を尋ねると、「だってあそこは・・・分かってるくせに」
別の職員は
「話には聞いているけど、自分はそんな『体験』はありません
と断言し、こう続けた。「もし、そういう何かがあったとしても、
それは相撲の守り神か何かではないでしょうか。だって、今まで
何回もお祓いをしているんですから」
(朝日新聞:抜井規泰 5月11日10版スポーツ欄)