地球異変
-楽園に迫る開発の波-
アフリカ・コンゴ共和国北部に広がる世界有数の熱帯林。
ニシローランドゴリラやマルミミゾウなど希少な動物が暮らす
生物の宝庫だ。ところが、近年は外国資本による開発が奥地まで
押し寄せている。熱帯林の小道を四輪駆動車で終点まで進み、
さらに徒歩で3時間。ゴリラの研究者が暮らすキャンプ、
モンディカにたどり着いた。
そこからピグミー族の案内人に連れられて森の中へ。
すると突然、異臭がした。
群れを統率するオスのゴリラが出す臭いだ。
森の奥に目をこらすと、ゴリラがいた。
背中の毛並みが銀白色に輝く。
シルバーバックと呼ばれるボスゴリラだ。
周囲にはメスや子ども十数頭がいる。
研究者は5mほどの距離を保って朝から晩まで群れを追跡。
顔の特徴から一頭一頭を見分けて名前を付け、
親子関係も把握している。
こうした地道な観察は、
森の真ん中にある草原性の湿地帯「バイ」でも行われている。
ゴリラが湿地を歩く際、木の棒で深さを調べ浅瀬を選んでいる
ことなど新しい発見につながった。
湿地帯にはマルミミゾウも姿を見せる。
研究者はゾウも一頭一頭見分けることができるという。
しかし、森では欧州やアジア資本の企業による伐採が進む。
森林環境を適切に保全した持続可能な開発をする
企業の多くは野放図な伐採を続けている。
いったん失われた生態系は簡単には元に戻らない。
世界遺産に登録されたばかりの豊かな森が、
危機遺産のリストに入らないことを願うばかりだ。
(ASAHI 文・中村浩彦)