小さな決意は翌日から実行に移された
朝6時に目覚めるとテレビのところへ行く
幸いというか、誰もいなかったのでテレビをつける
新聞のテレビ欄を見て気になっていためざましテレビにチャンネルを合わせる
当然のようにテレビをつけたりチャンネルを合わせる
私には当然の事だったが、後に看護師さんから「そういうこともちゃんと出来るんですね」と言われた
めざましテレビを見る
ニュースどうこうより、出演者のアナウンサーや、芸能人に注目していた
この日からしばらく続く「この人誰だっけ?クイズ」の始まりだ
まだしばらくは自問自答ではあるのだが
はっきりと「思い出した!」という感覚はないのだが、「あー、この人分かる!」という感覚はある
後に聞くと、やはり私は朝はめざましテレビ派であった
かといって他局の朝の情報番組を見ても分かる人は沢山いた
要するにテレビっ子だった
そんなことをしていると少しずつ他の患者さんが起きてきて、テレビの前に集まってくる
そうなるとやはりまだ恐怖心はあったので、新聞や本を読み込む事で「話しかけるなオーラ」なるものを出していた
しかし実は耳は患者さん同士の話に傾けていた
まずはどんな人達なのかを自分なりに探っていた
私は今では自覚しているが、かなりの寂しがり屋である
人と関わっていたいし、人とおしゃべりするのが好きである
この時も記憶がないのを理由に殻に閉じこもってはいたが、記憶は無くしているが消えてはいない自分のそういう本性が少しずつ滲み出ていたのではないかと思っている
基本的にテレビの近くでテレビを見たり、人が来たら新聞雑誌を読み、話しかけられそうな雰囲気を感じたら自分の病室に逃げる
そういう1日がしばらくの私の病院生活になった
話しかけられそうになると逃げるとは書いたが、全くコミュニケーションがなかったわけではなく、話しかけられれば答えることはしていた
そんな日が何日か続く
他の患者さん同士の会話とかを聞いていると、何ら違和感のない普通の会話をしている
時には密かにクスッと笑ったりもしていた
私の恐怖心は少しずつ薄れていっていた
そして徐々に思うようになっていた
「私は他の患者が怖い。でもそれは逆に患者さんも私が怖いのではないだろうか?」
話をしてみたい
そう思うようになった
そして実際に話をすることで私の扉は一気に開く
開くというよりは開放されるという感じだった
その時はすぐ近くに迫っていた