途方にくれながらも、父を自宅に連れて帰ってきました。
その後、父の介護をどうしたら良いのか、話あうことになりました。
私は週4日、仕事をしていて、私が出勤する時間に父が起きてくるかわからない。でも、食事前のインスリンは、家族の誰かが注射をしなければならない。夕飯前のインスリンも、時に私も用事があって、間に合わないことだってある。そのときに、どうすれば良いのか。
姉は、母にやらせようという算段でした。姉は、母が認知症のようになっていても、家事をきちんとする人はいるということを仕事の中で見ているので、父が糖尿病であるにもかかわらず、食事の管理をしていないことが許せないようでした。だから、インスリンだって、その気になれば打てるというのです。
母は元々が依存的なところがある人なので、当然のように「そんなの怖くてできない」と弱気になります。
しかし、姉は母を執拗に責めます。「認知症の人だって、やる人はやるの。お母さんは奥さんなんだから、お父さんの世話をするのはお母さんの仕事なの!」
母は責められ続けた挙げ句の果てに、泣き出しました。
さすがに、私としてはいたたまれず、「お母さん、そんなこと言われたってつらいよね。今、気分が落ち込んでいるし、注射は私がやるから良いよ」
と、母の背中をさすりながら言いました。
それを見て、姉は、「馬鹿みたい」とでも思っているかのような、冷たい目つきで私たちを見ていました。
結局、基本的には私が朝、晩のインスリンを注射し、私が夕飯の時間に帰れないときには、義兄が注射しに来ることにになりました。
これから後も、姉の母の病気への無理解は続くことになりました。