人里離れた地で強硬に文明批判を唱えながら、最良の子育て
をしているにしては、
飛行挺を発見した時のはしゃぎ様は不自然且つ迂闊過ぎる。
モンスリー達に対して素早く武器で対抗して威嚇した
振る舞いと同時に、その保持してすぐに持ち出せるように
しておいた武器の存在と、その武器への依存が、
過去を物語ってもいる。
発射したミサイルがラナを襲うという構図も、
性欲を象徴している。
死ぬ寸前のラストチャンスですら、他の仲間たちはおろか
コナンの(母)親の詳細も死の話すらもしない、という状況から
とてもではないが伝えられない状況だった、
と解釈するのが自然で、
災害や伝染病などの、説明しやすい不可抗力的な要因とは
考えづらい。
コナンが、エネルギーは知らない(「エネギー?」)が
津波は知っている等の描写から、
有用性のある災害に関する知識の部分は
当然ちゃんと教えているという事も提示される。
やはりアナタハンの実話が下敷きで
それを究極的に最終段階まで押し進めたイメージなんだろう。
コナンの母親が女王の様な振る舞いをしたのかどうか、
は史実同様に不明だが
コナンが産まれた段階で、おそらく既に数が減っていたので
あろう描写は見受けられる。
水・食料に関する詳しい事情がボカされているので、
そういう要因でのいさかいも有り得るが
産んだ母親がいなくなっていて、大人が男一人になっている
という事は、最終的に、
ライオンの子殺し的な状況でコナンを殺される事を恐れた母親
が自殺した、という結末は動かし難い。
物心つくかつかないかレベルの幼い一人息子を保護する為に
母親が自ら死ぬ(消える)、というこの構図は、
碇ユイの設定になっている。
スタート段階で暗示される、無人島(的な閉鎖環境)における
凄惨な殺し合い、はその後にも掛かっていく。
・サルベージ船から闇夜に紛れて小舟で脱け出す場面で
一人後ろを振り返って心配するラナ
その後の砂漠において、モンスリーとラオが
インダストリア沈没について話す場面で、
ラナが「それならサルベージ船の皆さんはどうなるのか」と
訴える事から、
その時点で災害による命の心配をしていた、という線
は打ち消している様に思える。
散々こっぴどくテリットの悪事が描かれた流れなので、
ボスのパッチが消えてナンバー2のテリットの横暴が増長する
ブラック環境、に取り残されるルカじいさんを、
深い関係を築いたラナが代表して慮かる、という意味
だと解釈していたが
終盤でのルカ再登場で伏線回収されて、深い狙いが
やっと分かった。
確かに、ナンバー2の横暴に下が耐えていたのは、
そもそもその上の「技術が一流の」ボスであるパッチ
に従っていたからな訳で
そこからボスだけが取り除かれた閉鎖環境に移行すれば、
起きる事はクーデターであり復讐だろう。
善良な老人が密室殺人犯になってしまう事を心配するラナ、
の傍らで振り返る事もなく立ち去るパッチ
は、気が回らないのでなく、寧ろ自らが計画通りに
セッティングした状況に安堵を覚えている。
ついにサルベージが成功して沸いている状況、に紛れて
「テリットさん」の偶然の事故死を自分から持ち出すルカ
は典型的な"うしろめたさからついつい口を滑らせる犯人"だが、
この場面で残りの"名無しの作業員3人"がいない事、
そしてルカが「テリットさん」と違って触れもしない事、
こそが更なる伏線回収であり、その先の展開を暗示している。
ここで遡って気付かされる伏線が、サルベージ船脱出前の
パッチの台詞「10日分の備蓄」である。
事前に備えをしていた事を表明させて、計画的な陰謀を
うかがわせる意味もあるが、
具体的な日数は特に出す必要性が無い。
「しばらく」など、数字を削った表現の方が遥かに自然である。
つまり、当初8人、3人いなくなって更にテリットが死んで
4人で丁度半分、そこから3人減らせば更に4倍備蓄がもつ、
という様な計算をさせる為の数値発表であり、
間のハイハーバー編など月の満ち欠けで日数の方の
ヒントも出している。
コナンがついに人を殺してしまう(手を差し伸べるが助け損なう)
ギガントという閉鎖環境に向かうクライマックス
の、まさしく直前に、ルカからこの取り残された"無人島"での
出来事を伝えられている事になる。
テリットとはそのままレプカを縮小再生産した存在であり、
葛藤しつつも付和雷同していたその他の作業員3人というのも、
ギガントで蜘蛛の糸を演じるレプカの部下達に
そのまま対応する。
そしてこちらでも、レプカ生存を知らされギガント復活の
情報をコナンに伝達する指令を出し、最終状況を
セッティングするポジションにきっちりパッチが置かれている。
緊急を要する状況での"動けない"ラオへの一々なレプカ生存
報告は無益な回り道をしただけの失策になっているし
捕まるリスクが跳ね上がるコナンへの即座の伝令指示は
非合理で、それまでのパッチの対応ともそぐわない。
流れで誤魔化されがちだが、実はパッチは
ずっとコナンをちゃんと"子供"として扱ってきている。
そして、実際に結果としてギガントの動静に対して
時間的に有意な価値を与えていない。
おあつらえ向きに、三角塔へのレーザー攻撃でも
死者は一人も出ていない。
(ギガント発進のシーンでファルコを並べて描写する
状況設定のセッティングが唯一の利点になった)
閉鎖環境で他の仲間を皆殺しにしてしまう老人
(主人公の子供も含めるべきか、がテーマでもある)
という構図は、ラオにも相似している。
最後にインダストリアと共に沈む委員会のメンバー達を
送り出すのは、更に、以前にも同様の事をしている
という事を暗示している。
ストーリー的には、太陽エネルギーの開発者自体、
天才のラオたった一人であって構わないのに、
わざわざ"開発者グループの一員"と設定しているのが
伏線になっている。
レプカ生存のギミックが"砂丘に一瞬隠れるから"というのは、
ギャグに近い御都合展開の様に見えるが、
一人特別な天才博士であるはずなうえ、前半でわざわざ
運転していて散々詳しい事が強調されている
同型のフライングマシーンでの結末だった事で、
ラオ(パッチ)が何も気付かず何も確認しない、
という事の不自然さ、作為を指し示している。
レプカが最後に用意するのは、あの型の方の
フライングマシーンでなくてはならなかったし
(実際あのマシーンそのものが、理不尽に一人で舞い戻った
パッチによって提供されて、最後に逃げ道に化けた、
という意味なのだろう)
ハイハーバーからモンスリーが運転するのは
違う型でなければならなかった、のである。
その後のギガントへのエネルギー漏洩、にも同様の構図が
言えるが、こちらの方は実際の機械作業を孕んでいそう
なので、寝たきりで動けない(はずの)パッチよりも、
実際に丁度コントロール室を乗っ取ったルーケや
第二おじいの働きを指し示す意味合いが強いのだろう。