もちろん山の話です。
話は重厚で新田さんらしく、描写が優れており、人と自然との対決といった緊迫感は感じました。



が、

いかんせん僕が山にこれぽっちも興味がないので、
なかなかその緊迫が伝わってこず。。

ただ、主人公の初めて剱岳に登頂した柴崎測量士が、
本当に偉い人だなというのは感じた。

仕事が細かく、周囲を気遣い、忍耐強い。

よくある話ですが、千年も前の奈良時代の誰かが登ったことがあるということが判明すると
上司も世間もまったく騒がず、その功績は実際よりかなり小さくなってしまう。
でも柴崎は動じない。動じない、というか関係ないというか。かなり客観的な方です。

読後にふと思ったこと。
「本当に偉い人というのは、実はみんなに知られていないんじゃないか」
ということ。

教科書に載るような人は多かれ少なかれ、
騒ぎ、宣伝し、誇張し、その結果が教科書なんじゃないか。
選挙とかタレントの人気みたいに。

そしてきっとこれは正しいと思われる。
本当に偉い人は、人々の記憶に残らない。なぜなら、自らを図っていないからだ。だから偉いのだ。

劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))/新田 次郎

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