高橋 源一郎
優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕

高橋源一郎の作品は初めてでした。

テレビで見かける彼は、はっきり言って好きではありません。


小林よしのりや二宮清純と同列に見えて、頭はいいかもしれないけど魂がないというか、主張がないというか、いわゆる口先だけのインテリに見えて仕方ない。


ではなぜ彼の作品を読もうと思ったのかといえば、それはタイトル以外にない。



優雅で感傷的な日本野球。



僕は本屋でうーんと唸ってしまった。日本野球に対する表現としてぴったりなのだ。

往年の名選手たちの必死さ、それに対する現代選手の魂の無さ、野球の衰退、野球文化の衰退。

よく言われることだが、僕が子供の頃は男の子といえば野球をやっていた。野球か、何もやっていないか。野球をやらずんば人にあらず的な状況だった。


まさに僕は「感傷的」にあの頃を思いだす。あの頃の野球を思いだすと同時にあの頃の自分を思いだす。

野球=自分という図式が僕の中で成り立ってしまっているのだ。



本書はそんなかつて野球少年だった大人たちを刺激するはずだ。

観念小説的で(僕はこのジャンルが苦手なのだが。。町田康とか島田雅彦とか)多少訳のわからない部分があるが、

筆者が野球を心から愛しているということは伝わってきた。

野球への愛が嵩じてこの作品を書いてしまったんだなーと思わせるのだ。


それは何というか、小学校の同級生と30年ぶりに新宿東口のでかい交差点でばったり出くわした時のような、

それだけで興奮し、それだけで感傷的になってしまうような感情。

こいつと一体仲が良かったのかどうかさえどうでもよくなるような。。


貧相な比喩だが、僕は読後にそんな風に感じた。



一応記しておくが、

この作品は“第一回三島由紀夫賞”受賞作で、

名作といわれているんだとか。