堕ちた男
さっきまで広く高く感じていたあの空も
今では遠く狭く感じる
さっきまで頬を撫でてくれた柔らかく暖かい風は
今では固くひんやりとした壁のよう
今この瞬間に大勢の人々の笑顔に囲まれ喝采を浴びている人もいれば
誰の目にも触れず独り、只々天を仰いでいるやつもいる
何度も何度も振り返る
一分一秒前の事を
なぜここにいるのだろう
いや、
そもそもここにいる事が相応しく
戻ることを運命づけられていたのかもしれない
そうか、ここは自分の居場所なのか
ここが
ここが・・・
嫌なもんだな
誰にも頼らず生きていこうとした
だがそれは不可能な事
人間は誰かに迷惑をかけながら生きている
だからこそ感謝をしなければならないと
そんなことまで忘れていたな
こんな自分でも人に頼ってもいいんだろうか
今の自分を見て誰が手を差し伸べてくれるだろうか
やはり面倒に感じるだろうか
その前に誰も自分の存在に気付かないかもしれない
自ら孤独を好んだ生き方をしておきながら
今では無性に人が恋しい
誰か
助けて欲しい
偉そうに言ってごめん・・
お願いします
どなたか
どなたか、
僕を
助けてください!!
お願いします・・
落ちたんです・・
ビルの隙間に
・・・・・
あのう
かまないでね・・

