妻からのがん告知の報告を受けた。
脱力した身体で、電話ができないかと電話した。

妻から「これから、また検査があるからまだ終わらない。外で待ってて」との連絡を受ける。

告知の際に付き添えなかったことを、とても後悔した。

頭が回らず、病院のエントランスに入ったり、入口の外でボーッと立ってたりしていた。
とにかく、鼓動もやる行動も落ちつかない時間になった。

大体、一時間くらい経った後、検査が終わり、会計するとの連絡が入ったので車を病院の前に動かした。


会計が終わった妻が車に乗った。
「ビックリだった。まさか癌だとは思わなかった」
と言った。話してみると、最後の最後まで陰性だと信じてたらしい。

人間とはおかしいもので、いつも普通にいる人が病気を告知された。その状況だけでいつもと違う見え方がするものだ。

なぜか、急に「病人」として見て、可哀想ではないがそれに似た感情も出た。最後まで陰性だと信じてた強さにも、冷静に凄いなと思った。

車中、親に連絡を入れた方がよいということで妻が電話をした。

親に結果を報告しているうちに、妻は大きな声で泣き出した。
妻も人に報告をしたことにより、現実感が増したのだろう。
そして、隣にいる自分も妻の涙で改めて現実感が増した。

妻も動いている車で電話するより、停まって電話した方が落ち着くかなという思いと、自分自身の感情も分からなくなり、コンビニの前で停車した。


親と二人でゆっくりと話をしてもらうため、コンビニに行きコーヒーを二つ購入した。

普段はコンビニで買う場合はどんなに冬でもアイスコーヒーしか飲まないが、その時はホットコーヒーしか飲む気がしなかった。

まだ、完全に受容できず、小刻みに身体が震えていたので、そのせいかもしれない。

コーヒーを買い、車へ戻った。


妻はまだ話している途中だった。

泣いている妻を見ながらホットコーヒーを飲み、「守らなきゃ」という気持ちが強くなった。
いつもより熱く感じるコーヒーだった。