アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

劇場で見た映画のネタバレのあらすじや感想を紹介します。
AKB48などのコンサートや握手会のセットリストや感想も紹介します。

「トロント国際映画祭 正式出品」「ベルリン国際映画祭 正式出品」「釜山国際映画祭 正式出品」「東京フィルメックス 観客賞受賞」「グラスゴー国際映画祭 正式出品」

 

監督:近浦啓

主な登場人物(俳優)役柄

チャン・リャン/リュウ・ウェイ(ルー・ユーライ)中国人の若者。

井上弘(藤竜也)蕎麦屋の主人。

中西葉月(赤坂沙世)画家。

井上香織(松本紀保)弘の娘。弘毅の姉。

グォイ・シュン(バオ・リンユ)チャンの祖母。

シュ・ヂェン(シェ・リ)チャンの同僚。

ヨン・ジョン(ヨン・ジョン)チャンの同僚。

松村(塚原大助)弘の友人で蕎麦栽培農家の主人。

井上弘毅(浜谷康幸)弘の息子。

刑事(石田佳央)山形警察署の刑事。

小春(酒井小春)蕎麦屋の手伝い。

井上恭子(占部房子)弘毅の妻。

 

 チェン・リャンと仲間逹が、野外給湯器を外して盗もうとし、見つかり逃げる。中国河南省から技能実習生として日本に働きに来たチャンは、劣悪な環境のために研修先の電子制御工場から失踪し、不法滞在の身となっていた。窃盗団のボスは、戸籍を買い取った偽在留カードの作成に9万円かかったと言い、給湯器の窃盗の報酬にチャンは5千円しかもらえなかった。チャンは明日も仕事に来る約束をして、3万円前借する。チャンの偽在留カードの偽名はリュウ・ウェイだった。

 (タイトル)

 チャンへ母親から電話がくるが、研修を続けていると嘘を言う。部屋ではヨンが大きないびきをかいて寝ていた。

 【中国の回想】母親と買い物をするチャン。

リュウ名義のチャンの携帯電話に、リュウ本人への電話が時々かかって来る。ある日、大石田町のそば屋に住み込みで、月給16万円の仕事が決まった、と連絡が入る。

 窃盗団からチャンとヨンは、詐欺で盗んだカードから金を下ろす仕事を依頼される。ヨンがコンビニのATMで金を下ろし、チャンが駐車場で見張りをする。ヨンは店から出ると、警察に捕まる。チャンは逃げだす。

 チャンが部屋にいると、山形国際支援協会から、先日の大石田町のそば屋の就職の件で、事務所に来るように電話があった。チャンは事務所に行き、就職の手続きをする。従業員2人の小さな店だそうだ。事務所の職員に出身地を聞かれ、チャンはとっさに北京と答える。

 【中国の回想】日本での実習の斡旋業者が、チャンの母親に、1年稼いで戻って来ると理解を求める。母親は心配する。

 大石田町のそば屋で、チャンは働く。店主の井上弘がそばをこねているのを見る。

弘の娘の香織がチャンの面倒を見る。店員は他に小春がいる。

チャンは小皿に漬物を盛り付ける。店が開店すると、チャンは覚えたての日本語で「いらっしゃいませ」と言って接客する。

 出前の注文が入り、チャンが自転車で配達に行く。帰り道、母から電話があり、チャンはまだ電子制御の工場で働いていると嘘を言う。

 弘、香織、チャンの3人で夕食のすき焼きを食べる。弘はチャンに「そば職人は時間がかかる。頑張れよ」と励ます。チャンが北京出身だと聞き、弘も北京で生まれたと話す。

 チャンの部屋は中2階の天井が低い部屋だった。香織が弟の服を部屋着に持って来る。

 次の朝、チャンが寝坊すると、弘はそば粉を挽いていた。チャンは袋の持ち方を教えてもらい、そばの実を機械に入れて磨く。

 【中国の回想】チャンの母は足が悪かった。チャンが3年間日本に行くと言うと、母親は、父さんが生きていたら怒る、と言う。祖母は仕事をしないチャンを叱る。

 チャンは長い階段を登ってそばを出前する。そこはアトリエで、葉月が絵を描いていた。葉月は北京に留学するために中国語を習っていると言い、中国語で自己紹介する。

 香織がチャンに、明日は法事で店が休みにするので、入口に掲示を貼るのを頼む。

 夜、チャンは居酒屋で、窃盗団の仲間達と飲む。窃盗団のボスは、戻ってくるように誘うが、チャンは断る。隣の席の男がボスのタバコの煙で注意するが、ボスは聞かず、わざと煙を出す。

 法事の日、チャンが掃除をしていると弘の息子の弘毅が来るが、居酒屋で煙を注意した男だった。弘毅はチャンが変な連中と一緒だったので、大丈夫かと香織に話す。弘は外でタバコを吸って、チャンにもタバコを勧める。

 法事が始まり、チャンは足の悪い老婆に椅子を運ぶ。

 アトリエで絵を描く葉月をチャンが見る。葉月は「何でそばやるの?」と尋ね、チャンは「中国で店を開く」と答える。葉月は「手伝う」と言う。

 チャンと葉月は大石田町の「最上千本だんご」で団子を買って食べる。店内に流れるテレサ・テンの『時の流れに身をまかせ』の歌を、チャンは中国語で歌う。2人は出前の自転車に2人乗りして帰る。BGMに『時の流れに身をまかせ』の日本語歌詞の歌が流れる。

 【中国の回想】屋台でチャンと母親、祖母がそばを食べる。祖母はチャンの日本行きを反対する。

 チャンと葉月は山形交通のバスで山形市に行く。お好み焼き屋「道頓堀」で食事する。葉月は「中国人はなぜボイスメッセージをするの?」と尋ねると、チャンは「メールより速い」と葉月の名前の由来を聞く。葉月は8月生まれだからと答え、誕生日の8月15日の大石田町のお祭りにチャンを誘う。

 夜、葉月はチャンをクラブに連れて行く。

チャンが葉月に飲み物をおごろうとして、財布がない事に気付く。葉月は山形駅前交番に紛失物の届けに行くが、チャンは逃げる。

 次の朝、そば粉を挽きながら弘がチャンに、財布の盗難届を出したかと聞く。チャンは動揺し、客席でそばをこぼす。チャンが外でタバコを吸っていると、葉月がボイスメッセージで「北京への留学が決まった」と連絡が入る。チャンは返事できない。

 【中国の回想】チャンの弟が結婚し、チャンは川で結婚写真を取る手伝いをする。

 チャンは出前に行くが道に迷い、人に聞きながらやっと着くと、すでに弘がそばを持ってきていた。チャンが店に帰り、香織に促されて弘に謝る。弘は、そばには寿命があると教える。

 弘がそばを切っているのをチャンが見ていると、弘はチャンにそばを打って見るように言う。チャンはそば粉に水を混ぜ、よくかき混ぜる。

 香織が、外で待っている人がいるとチャンを呼ぶ。チャンが行くと、窃盗団の元同僚のシェで、住む所がないのでここに泊めて欲しいと言う。チャンは断る。

 チャンの母から、研修先にお茶を送ったと電話が来る。

 そば屋に客として葉月が来る。今日はお祭りで一緒に行くと約束したとチャンを誘い、葉月の誕生日のプレゼントを準備したか聞く。2人で町のお祭りに行き、屋台が出ている通りを食べながら歩く。夜、河原で花火大会を見る。

 チャンに祖母が亡くなったので、すぐ帰って来いと弟から連絡が来る。チャンは呆然とする。弟が火葬前の祖母の姿を送って来る。

 【中国の回想】日本に行くチャンに、祖母は服を買ってあげる。

 北京に留学する葉月は、大石田駅から電車に乗る。葉月は「北京で待ってるね」と言って別れる。いつまでも駅で電車を見ているチャンに、葉月は「早く前に進みなさいよ」とボイスメッセージを送る。

 弘はチャンを、友人の松村のそば畑に連れて行き、「そばは環境が悪くても育つ」と教える。

 弘が指導し、チャンが麺棒でそばを伸ばす。電話が来て弘が取ると、「チャンはいるか」と問い合わせで、弘は「そんな人はいない」と答える。すると、ファックスで登録証が送られてくる。それを見た弘はチャンに「君は誰だ?」と聞く。

チャンは荷物を持って逃げる。チャンは河原の木の下で泣く。

 【中国の回想】チャンが日本へ行く日、母と祖母がバス停で見送る。弟夫婦も来る。祖母はチャンに裁縫道具の小袋を渡す。バスに乗ったチャンが小袋の中を見ると、お金が入っていた。

 夜、チャンは弘の家に戻る。弘はチャンにそばの実を磨くように言う。

 チャンが作業場でそばを打ち、店の接客や出前を弘が行う。チャンが打ったそばを弘と香織が夕食で食べる。弘は香織に念願の海外旅行を進め、その間、店を閉めてチャンにじっくりソバ打ちを教えると言う。チャンがそばを打っていると、弘が居眠りしていた。香織がチャンに「早くお父さんの力になってあげて」と励ます。

 店を閉め、弘はチャンにそば打ちを指導する。弘はチャンを連れて車で競馬場に行き、儲ける。家に帰り、弘は幼い頃に北京で撮った写真をチャンに見せ、北京でそば屋を開くように勧める。

 チャンに山形警察署から、財布が見つかったと電話が来る。中に入っていた在留カードが偽物なので、署に来て話を聞きたいと言われる。

 夜、弘とチャンがそば焼酎を飲みながら、北京で、チャンがシェフで弘が手伝いで、そば屋をやろうと盛り上がる。

 店を再開する。チャンが作業場でそばを切っていると、客が来る。弘が出ると数人の刑事で、チャンを逮捕に来た。弘は刑事に、作業場には包丁や麺棒があって危ないので、客の振りして店に上がり、チャンを配膳に出すと話す。弘は作業場でそばをゆでると、チャンに金が入った集金袋を持たせ、白紙のメモを渡して、出前に行けと言う。チャンが断ると、弘はチャンを抱きしめ、「これから先は自分で決めろ」と言う。チャンは自転車で出て行く。

 チャンは最上川を越え、風力発電の風車が並ぶ庄内浜まで自転車でやって来る。チャンは自転車を降りて海辺へ行く。携帯に葉月からボイスメッセージで「北京で映画を見た。題名を当てて」「答えは『君の名は。』」とあった。それを聴いたチャンは「僕の名はチャン・リャン」と告白する。

 (エンドクレジット。テレサ・テンの『時の流れに身をまかせ』の中国歌詞の歌が流れる。) 

 (写真は「映画com」「公式ホームページ」より転載)

 

 

 

評価 4/5 ☆☆☆☆★

2020年1月17日公開の『コンプリシティ 優しい共犯』の近浦啓監督の舞台挨拶付き試写会が12月5日(木)フォーラム山形で行われた。舞台挨拶の詳しい内容は別ページで紹介しているので、ここでは映画の感想を述べる。

この映画は主に、山形県内の大石田町と山形市で撮影したそうで、山形県民に見覚えのある風景が多数出て来て、興味深かった。葉月のアトリエから見える雄大な風景は、大きく蛇行する最上川である。雄大な景色を眺めると、創作意欲も増すだろう。一面真っ白なソバの花が広がる風景も美しい。監督が魅せられたのもうなずける。大石田町花火大会で、2人のシルエットが映し出された場面は何とも美しかった。風景も優しさに溢れている気がした。

チャンと葉月がダンゴを買った店は、大石田町の有名な「最上川千本だんご」だ。妻が何回も買ってきたが、美味しいダンゴである。チャンと葉月がデートしたのは、山形市内である。2人が入ったクラブはどこか分からないが、2人がお好み焼きを焼いていたのは、お好み焼き屋「道頓堀」で、我が家でも何回も食べに行った店だ。

この山形の美しく優しい風景だけでなく、登場人物がみな優しいのが一番良かった。チャンはいつもどこか寂しげな表情をしているが、葉月はチャンの内面に優しさを感じ、惹かれたのだろう。ソバ屋の客も出前先の客も、熱心に働くチャンを認めている。チャンは不法就労者だとバレて一旦は逃げ出すが、弘の元に戻ってくる。チャンは自分に対する弘の優しさを知っているので、逃げるわけにいかないと悟ったのだろう。弘もチャンがしっかりした人だと知っているので、不法就労者と知った後も、チャンを一人前のソバ職人に鍛え上げようとしていた。

警察に追われたチャンは、出前の自転車で日本海が広がる庄内浜まで逃げる。日本海の向こうは中国であるが、もちろんこの先には行けない。葉月が北京で見た映画の題名が「君の名は。」であると聞いたチャンは、自分の名はリュウでなくチャンであると葉月に告白する。映画はここで終わるが、おそらくチャンは現状から逃げるのではなく、自分から立ち向かう決意を持ったのではないだろうか。

団子屋のデート後に、チャンと葉月が自転車で2人乗りしている時に、テレサ・テンの『時の流れに身をまかせ』の曲が日本語の歌詞で流れる。この後どうなるか分からない2人の状況をうまく表している良い曲だと思った。映画が終わり、エンドクレジットが流れる中、同じテレサ・テンの『時の流れに身をまかせ』の曲が、今度は中国語の歌詞で流れる。今後、チャンは中国に帰り、葉月と再会するのを暗示しているように聞こえた。同じ曲なのに、場面と言語が変わると、全く違う感じに受け取れる。これは監督の鋭い意図だと思うと感心した。

登場する優しい人々と、それを包む山形の優しい風景が織りなす、優しさに溢れた映画であった。

海外での題名は『Complicity』で「共犯」である。日本の題は「優しい共犯」で、こちらの方が本質をついており、いい題名だと思う。評価は「4」である。

 

 

 

 

2020年1月17日(金)公開の『コンプリシティ 優しい共犯』の近浦啓監督の舞台挨拶付き試写会が12月5日(木)フォーラム山形で行われた。試写会に当選したので見に行った。その様子を紹介する。

18時30分開演。司会者より、携帯電話での撮影可能で、ツイッター等で拡散してほしいとの連絡があった。近浦監督登壇。

監督「報道関係者への上映を除けば、今回が日本初の一般試写会だ」

司会「大石田でロケした理由は?」

監督「大石田に友人がいて、前から行きたかった。冬に行ったら、3mの真っ白な雪の上に柿の木の朱色が鮮やかで魅せられた。秋は真っ白なソバの花が一面に咲き、最上川、田んぼの黄金色の稲穂など、大画面で見たい景色があり、撮影したいと思った」

司会「撮影の思い出は?」

監督「ここ(ファーラム山形)の近くの山形駅前や大石田で撮影を行った。大石田ではたくさんのエキストラの方に出演してもらった。エキストラは普段カメラの前に立ったことがない人なので、緊張して、普通はあれこれ指示しなければならない。ところが、大石田のエキストラの人たちには注文を付けたことが一度もない」

司会「様々な海外の映画祭で絶賛され、東京フィルメックスでは観客賞を取ったそうだが」

監督「一般向けはここが最初の上映。2017年夏から秋にかけて撮影した。その時は世界の映画祭に招待されるとは思わなかった。大石田の方々の多大な協力のおかげで感謝したい。トロント国際映画祭、釜山国際映画祭、ベルリン国際映画祭に招待された。トロント国際映画祭では日本映画は4作品くらいしかないのに、その中に入って嬉しい。日本でも来年1月17日に公開が決まった。この映画を山形に一番先に持って行きたかった。全国公開の前に、先行上映を東京と山形で行う。この映画を山形に持って来られて、感無量だ」

司会「この映画はどのように楽しんだらいいか?」

監督「不法滞在の中国人若者が、他人に成りすまして大石田のソバ屋に来る話。大石田町役場に来て映画のあらすじを話したら、みんなシーンとなった。でも協力してもらった。境遇が違う人々の話だ。技能実習生の実態を描く社会派映画ではなく、私自身の映画を撮ろうと思った。共感できるものがあったら見てほしい。インディペンデントで撮っているので、皆さんのコメントが宝物だ。見終わったらぜひツイッターに上げてほしい。ツイッターがない方は、職場の同僚の方に話していただけたら幸いである。私は終電(最終新幹線)で東京に帰らなければならないので、最後までご一緒できないが、ツイッターで見るので、ぜひ感想を書いてほしい」

司会「来年の先行上映の時も、山形に来るそうですね」

監督「去年、世界のいろいろな映画祭で上映した時、必ず「どこで撮ったの?」と聞かれる。そのたびに山形県の大石田の話をした。外国人が良く見る日本の景色、渋谷、新宿などの都会でもなく、わびさびの世界でもない、大石田の自然の風景に興味を持ってもらった。この映画を見て、新しい発見があると思う」

(報道用の撮影)

司会「時間があるので、最後の挨拶を」

監督「劇場にまた来ていただけると嬉しい。贅沢を言うと、2回来てほしい。1回目は見たことがある景色に集中すると思うので、2回目だと、この人がこんなことを考えていたと分かるはず。ぜひサポートしてほしい。山形県内4館、東京1館で先行上映する」

18時45分終了。その後、本編上映。

 

 近浦監督の、この映画への熱い思いが伝わる舞台挨拶だった。山形県内の大石田町と山形市で主に撮影したそうで、日本で一番早く山形市で試写会を行ってくれたのがとても嬉しい。会場の中央横2列が関係者席だった、映画に協力した大石田の人やエキストラの方が招待されていたようだ。山形県内の見覚えのある風景が出てきて、なかなか良かった。一番良かったのは、山形県民の優しさが紹介されたことだ。別ページで「ネタバレの感想」を述べる。

(撮影した写真は、後で貼り付けます)

 

 

 

 

『ドクター・スリープ』は『シャイニング』の続編であり。終盤のダニーとアブラ達と、ローズとの決戦の場は班居の展望ホテルである。展望ホテルのセットはキューブリック監督の設計図が残っており、それを基にフラナガン監督が再現した。このセットおよび『シャイニング』と同じ登場人物の再現度が凄いので感心した。

 

1.展望ホテルへの山道

ダニーとアブラが乗った車が展望ホテルへの川沿いの山道を向かう。最初に川の中に木が生えた小さな中州が映り、うっすらと雪が積もった川沿いの山道をダニーの車がホテルに向かう場面は、『シャイニング』の冒頭と全く同じカメラワークで、息をのんだ。全く同じカメラワークで空撮したのだろうか?そうは思えないので、ひょっとしたら『シャイニング』の画像をCG加工で雪景色に替えたのか?調べたが分からなかったので、誰か教えてほしい。

『シャイニング』より。

同様な『ドクター・スリープ』の画像は見つかりませんでした。

 

2.ホテルの廊下を三輪車で走るダニー

 『シャイニング』で、ダニーが三輪車でホテルの廊下を走り回り、237号室の前で立ち止まる。『ドクター・スリープ』でも回想シーンで同じ場面が登場するが、カーペットの模様や壁、廊下に置かれている備品までそっくりである。三輪車やダニー少年役の子役もそっくりである。この場面もちろんステディカムで撮影したものだろう。ただ、『ドクター・スリープ』の三輪車のふらつきが大きいのが気になった。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より。

 

3.管理人室のドアの穴から覗くジャックとダニー

『ドクター・スリープ』で、ダニーがホテル内を歩くが、途中の廊下も『シャイニング』そっくりで、2階へ続く階段が出てきた瞬間、ついに管理人室へやってきたと分かる。管理人室は古びているが、そのままの状態で残っている。父親ジャックが斧で開けた穴から、ダニーが部屋の中を覗き込む。この構図は『シャイニング』でジャックが穴から顔を出す場面そっくりで、一瞬ダニーがジャックに見えた。よく見ると、穴の形がちょっと違うが。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より

 

4.「REDRUM」の文字

 『シャイニング』ではダニーが、ドアに「REDRUM」と書く。『ドクター・スリープ』では、ダニーが鏡に映った「REDRUM」の文字を見る。こちらはアブラの悲鳴がダニーの部屋の壁にひびを入れて「MURDER(殺人)」と書いたものであるが、象徴的な文字が登場したのが嬉しい。もちろん2つは書いた人物が違うので筆跡(?)も違うが、RやDの鏡文字が同じである。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より

 

5.エレベーターの血の洪水

 『シャイニング』では、ダニーはエレベーターの扉の隙間から大量の血が洪水のようにあふれ出る幻影を見る。『ドクター・スリープ』でも、ホテルに侵入したローズが同じような幻影を見る。『ドクター・スリープ』は壁が傷んでいるので、新しく撮ったようだ。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より。

 

6.巨大庭園迷路

『シャイニング』では、父親ジャックに追われたダニーが巨大庭園迷路に逃げ込み、足跡を消してジャックをまく。迷路を歩き回ったジャックは、翌朝凍死していた。『ドクター・スリープ』でも、ダニーとアブラがローズの意識を巨大庭園迷路に誘い込む罠を仕掛けた。生垣の様子や所々にある照明など、巨大庭園迷路もそっくりに再現してある。なお、雪に見せているのは塩である。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より。

『シャイニング』より。巨大庭園迷路の模型を眺めるジャック。迷路はこんなに複雑である。確かに迷い込んだら出られない?!この巨大庭園迷路を上空から見た場面が『ドクター・スリープ』でも一瞬映るが、中央部分の通路の形状が違っていた。

 

7.ホールの階段

『シャイニング』では、精神が可笑しくなったダニーの父親ジャックが、ダニーの母親ウェンディに迫る。ウェンディはバットを振り回しながらホールの階段を後退る。

『ドクター・スリープ』ではダニーが斧を持ってホールの階段で待っていると、ローズが迫って来て、ダニーは斧を振り回す。この場面は人物が違うが、上記の『シャイニング』の場面とそっくりである。『シャイニング』では、ウェンディのバットはジャックに当たり、ジャックが階段を転げ落ちるが、『ドクター・スリープ』では、ダニーの斧はローズに奪われ、逆にダニーはローズに斧で大けがをさせられる。

その後、亡霊に乗り移られたダニーが、斧を持って足を引きずりながらアブラを探す場面は、斧を持って足を引きずったジャックがダニー少年を探す場面とそっくりである。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より。やはり同じ構図でないが。

 

8.そっくりな俳優たち

 (1)双子の姉妹

『ドクター・スリープ』の予告編でグレーディーの双子の姉妹を見た時、この双子は40年間年を取っていないのかと思うほどそっくりで、びっくりした。もちろん別の子役を使っているが。この双子の姉妹の亡霊が出現する廊下のカーペットや壁紙の模様もそっくりである。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より。

 

(2)ハロラン

『ドクター・スリープ』の写真を見た時、スキャットマン・ローズがまた出演しているのかと思った。もちろん『ドクター・スリープ』は別人のカール・ランプリーが演じている。

『シャイニング』より。ハロランとダニー少年。

『ドクター・スリープ』より。大人のダニーとハロラン。

 

(3)母親のウェンディ

ダニー少年の母親を『シャイニング』ではシェリー・デュバル、『ドクター・スリープ』ではアレックス・エッソーが演じている。イメージは似ているが、アレックス・エッソーの方が美人(シェリー・デュバルのファンの皆様、ごめんなさい)である。でも、『ドクター・スリープ』でも回想でジャックが斧でドアを打ち破り、部屋の中でウェンディが恐怖におののく場面が一瞬映る。この場面ももちろん新たに撮影したものだろうが、アレックス・エッソーがシェリー・デュバル本人かと思うほどそっくりだった。

『シャイニング』より。

『ドクター・スリープ』より。上記と同じ構図の写真がないと言うか、ウェンディの写真はこれしかないのでご了承ください。

 

(4)ジャック

『ドクター・スリープ』では、ホテルのバーのカウンターにバーテンとしてジャック(ロイドと名乗っているが)が登場する。もちろんジャック・ニコルソンではなく別の俳優ヘンリー・トーマスが演じているが、眉を吊り上げる表情とか、よく似ている俳優を探したものだと感心した。『ドクター・スリープ』ではジャックの写真が公開されていないので、お見せできないのが残念である。

『シャイニング』でバーのカウンターに座るジャック。

 

(5)亡霊たち

『ドクター・スリープ』で、ローズに襲われたダニーは、ホテルの亡霊たちを閉じ込めていた箱から解放する。上記の双子の姉妹やジャックの他に、風呂場の老婆、頭から血を流した紳士、元管理人のグレーディーなどの亡霊が映る。これもうまく再現している。『ドクター・スリープ』では、亡霊たちの写真も公開されていないので、写真は全て『シャイニング』の物である。

237号室の風呂場の腐乱死体の老婆の亡霊。

頭から血を流した紳士の亡霊。グラスの中の液体は血か?

双子の娘と妻を惨殺した元支配人のグレーディー。『シャイニング』で演じているのはフィリップ・ストーン。キューブリック監督は同じ俳優をほとんど使わないが、『時計仕掛けのオレンジ』(1971年)と『バリー・リンドン』(1975年)にも出演した名優。

 

(写真は全て英語版「IMDb」より転載)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監督:マイク・フラナガン

主な出演者(俳優)役柄

ダン・トランス(ユアン・マクレガー)特殊な力「シャイニング」の持ち主。

ローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)「真の絆」のリーダー。

アブラ・ストーン(カイリー・カラン)弾を上回る強力なシャイニングの持ち主。

ビリー・フリーマン(クリフ・カーティス)ミニチュア広場の保全係。

ディック・ハロラン(カール・ランプリー)展望ホテルの料理人。

クロウ・ダディ(サーン・マクラーノン)ローズのパートナー。

スネークバイト・アンディ(エミリー・アリン・リンド)人の精神を操る能力を持つ。

 

1980年、フロリダ。森の中で少女バイオレットが遊んでいると、

湖畔にいたローズが帽子から花を出して少女に挙げる。

ローズの仲間達が一斉に少女に襲い掛かる。

 (タイトル)

展望ホテルの廊下をダニー少年が三輪車で走り、237号室の前で止まる。

ドアが開き、老婆の亡霊が現れる。ダニーの夢だった。ダニーがトイレに行くと、風呂場に老婆の亡霊がいて逃げる。母親がダニーを「先生」と呼んで慰める。

 ベンチにダニー少年と、ホテルで死んだハロランが座り、頭の中で会話する。ハロランはダニーに小箱をあげ、亡霊を閉じ込めるように教える。

 家で母親とテレビを見ていたダニーが風呂場に行くと、老婆の亡霊がいた。雪の迷路に巨大な箱がある。老婆の悲鳴が聞こえ、ダニーは部屋に戻る。

 2011年、ニュージャージー州。大人のダニーがベッドで目を覚ますと、隣に裸の女性が寝ていた。昨夜、酒場でダニーが酔って客と喧嘩をし、そこで知り合った女性の家で寝ていた。ダニーが女性の財布から金を取ろうとすると、ハロランが止める。

 ニューヨーク州ロングアイランド。映画館にいるアンディの隣に中年男性が座る。アンディが耳元で囁いて男性を眠らせ、財布から金を盗み、頬にナイフで2本の傷をつける。アンディが外に出ると、見ていたクロウとローズが呼び止める。

 ニューハンプシャー州アニストン。パーティーで手品師が帽子からスプーンを出し、アブラが自分もできると言う。父親が家に帰ると、天井に無数のスプーンがくっついていた。スプーンが一斉に落ち、その気配をダニーとローズが感じる。

 ローズのキャンピングカーにアンディがいた。15歳のアンディは、人を言いなりにできる能力があり、3か月間に6人の男に蛇の噛み傷をつけ、ローズはスネークバイト(蛇の噛み傷)のアンディと呼ぶ。ローズはアンディに、仲間になって若さを保って長生きしたくないか誘う。

 ニューハンプシャー州フレイジャー。町に来たダニーに、広場の保全係のビリーが話しかける。ビリーが保証人になってダニーが部屋を借りる。ビリーは直感でダニーが良い人だと分かると話す。

 夜、浜辺で「真実の絆(トゥルー・ノット)」の仲間逹が、アンディを仲間にする儀式を行う。容器に入った生気をローズが吸い込み、アンディの口に吹き込む。アンディは苦しがる。

 ダニーが部屋で寝ていると、隣に死人の女性と子供がいた。ダニーがベッドから転げ落ちると消える。ダニーはビリーを起こし、「顔を見れば分かる」の意味を尋ね、助けを求める。

 ダニーがビリーと禁酒会に出る。ダニーは、主催者のジョン医師が失くした腕時計が病院のトイレにあると教える。ジョン医師はダニーに、彼のホスピスで働くように誘う。

 ダニーがホスピスで掃除をしていると、猫が部屋に入る。その部屋の老人は死が怖いと話し、ダニーは安心するように、老人の頭の中に話しかける。老人は感謝して亡くなる。ダニーが部屋に帰ると壁に「ハロー」と書かれていた。ダニーは「ハイ」と書く。アブラがそれを感じて喜ぶ。

 8年後。禁酒会でダニーが、5歳の時に亡くなった父のようにアルコール依存症と暴力をふるっていたが、禁酒で変わったと話す。

 ホスピスにダニーが勤務していると、猫がある部屋に入る。そこの老人はダニーを「先生」と呼び、死を怖がっていた。ダニーは老人を慰める。ダニーが部屋に帰ると壁に「おはよう」と書かれていた。ダニーは「学校」と書く。アブラは学校に行く。

 真の絆達は森の中に車を停めていた。キャンピングカーの屋根の上でローズが瞑想し、アイオワのどこかに強いシャイニングの持ち主がいると感じる。その生気を入れるために容器を1本開け、仲間達は生気をむさぼる。

 アイオワ州アデア。相手の心を読むと言われる野球少年ブラッドリーが、試合の帰りに道を歩いていると、アンディが車に乗るように言い、少年は車に乗る。夜、真の絆逹は地面に少年の手足を固定し、ローズは苦痛が生気を高めると少年をナイフで傷つけ、生気を仲間逹が吸い取る。

 家で寝ていたアブラはその気配を感じ、悲鳴をあげる。ローズもアンディの存在に気付く。アブラの悲鳴でダニーの部屋の壁に亀裂が入る。ダニーが鏡で「REDRUM」の文字を見て驚く。

壁に「MURDER(殺人)」の文字があった。ダニーが壁に「誰」と書くと、「野球少年」と書かれる。

 真の絆達は少年の生気を容器に入れ、死体と彼のグローブを地面に埋める。ローズは殺人を見られたことに気付き、強いシャイニングを持つ東海岸の少女を、真の絆達が探しに行く。

 ダニーは壁に「君の無事を願うよ。友人のダン」と書く。アブラは母親に、新しい友人ダンができたと話す。アブラは学校のパソコンで全国の行方不明児を検索し、ブラッドリーを見つけて印刷する。

 アブラは家でブラッドリーの写真に触れると、車に乗せられて工場に行き、地面に埋められるのを見る。アブラは窓際で念じると部屋が傾いて落下し、スーパーマーケットで買い物をしているローズの頭の中にいた。ローズはケースのガラスに映ったアブラを見つけ、手で触ろうとする。アブラが「頭の中から出て行って」と叫び、ローズが吹っ飛ばされる。

 ダニーも衝撃で気絶する。

 ローズは仲間逹に、少女が自分達を見つけたので、彼女の生気を取ると話す。

 アブラは学校に行かず、バスでフレイジャーに行き、ダニーに会う。2人はベンチに座り、魔法と呼ぶアブラに、ダニーはシャイニングだと教える。アブラは化け物が野球少年を殺して埋めたと教える。ダニーは、奴らに見つからないようにじっとするように忠告する。

 ダニーがホスピスにいると、猫が空き部屋に入る。部屋の中にハロルドがいて、あの子の身を守るように頼んで消える。

 アブラの母親は祖母の家に行く。ローズが車の上で瞑想して空を飛び、アブラの家を見つける。アブラの部屋に入ったローズは、壁の引き出しの中のファイルを探す。それはアブラの罠で、ローズの手が引き出しに挟まれ怪我する。ローズは慌てて戻る。

 何千年も生きてきた真の絆の一人が死亡し消滅する。アンディは不死でない事に衝撃を受ける。ローズはアブラに見つかるので、それ以外の仲間がアブラを殺しに出かける。

 ダニーとビリーは、家にいるアブラの案内で工場へ行く。ダニーとビリーが地面を掘ると、猛烈な死臭を放つ少年の死体が出てくる。

 ダニーはビリーとアブラの家に行く。アブラが父親に少年が殺された映像を見せ、奴らがアブラを殺しに来ると教える。

掘り出した少年のグローブにアブラが触れると、真の絆達がキャンピングカーでここに向かっていることを知る。

 ダニー達は車を林の中に停める。真の絆達が来て、林の中のベンチに座っているアブラを取り囲む。これは罠で、アブラは家にいた。木の陰に隠れていたダニーとビリーが猟銃で真の絆達を撃つと、撃たれた者は消滅する。仲間の死を感じたローズは悲鳴を上げる。ダニーが最後のアンディに眠らされそうになる。ビリーがアンディを撃つが、死ぬ間際にアンディがビリーを自殺させる。

 アブラは、クロウがいない事に気付く。クロウは家に侵入し、薬を注射してアブラを眠らせる。車の中で目覚めたアブラは、薬の影響でシャイニングが使えなかった。

 ダニーがアブラの家に行くと、父親が殺されていた。ダニーが家に戻り、頭の中でアンディを探すと部屋が傾く。アンディが車で拉致されているのを見つけ、必ず助けると約束する。

 アンディはクロウを操って、車を木に激突させる。シートベルトをしていないクロウはフロントガラスを突き破って死亡し、シートベルトで縛られたアブラは無事だった。クロウの死を知ったローズは悲鳴を上げる。

 アブラが道を歩いていると、ローズの幻影とすれ違う。ダニーが町でアブラを見つける。

 ダニーはアブラに、自分達だけではローズを倒せないので、彼女にとっても危険な場所に行くと話す。雪が降る中、ガソリンを車に積め、山に向かう。

 車は、雪の展望ホテルの廃墟に着く。ダニーが先に入って亡霊を目覚めさせるので、ローズが来たら知らせるようにアブラに頼む。ダニーがホテルに入ると明かりが点く。

ダニーはボイラー室で操作する。管理人室の破られたドアの穴からダニーが覗く。

ダニーがゴールド・ルームのバーに座ると、カウンターにバーテンダーの父親がいた。父親は酒を飲むように勧めるが、ダニーは断る。

 ダニーが外に戻るとローズの車が見え、ダニーとアブラはホテルに入る。

ローズが中に入ると、エレベーターに血の洪水が起こる幻影を見る。

ホールの階段に斧を持ったダニーとアブラがいた。

ローズが気付くと雪の迷路の中にいた。ローズは足跡を追ってアブラを見つけて持ち上げる。

するとアブラにナイフで足を切られる。ダニーが箱にローズを閉じ込めようとするが、箱を壊される。

 ローズはホールにいた。ダニーがアブラを逃がし、ダニーにローズが迫る。ローズは斧を奪ってダニーに切りつける。その時、迷路の箱の中から放たれた亡霊逹がローズを襲う。ローズが消滅すると亡霊逹はダニーを襲う。

 アブラがホテルの廊下を進むと、双子の姉妹の亡霊を見る。

亡霊に憑りつかれたダニーが来るて、アブラは237号室に逃げる。アブラはダニーに憑りついた亡霊に出て行くように言うと、ダニーは正気を取り戻す。ダニーがボイラー室に行くと、ボイラーから火災が発生する。ダニーは母親の幻影を見る。

 外に出たアブラは、ホテルが火に包まれるのを見る。消防車がやって来る。

 アブラの部屋で、亡霊のダニーが事件に巻き込んだことを謝り、閉じこもるように言ったのは間違いだったと謝る。君はそのまま輝く続けるようにと話す。

 母親は誰と話していたか尋ねると、アブラはダンと答える。アブラが風呂場に行くと、老婆の亡霊がいた。アブラはドアを閉める。

 (エンドクレジット)

(写真は英語版「IMDb」より転載)

 

 

 

 

 

 

評価 5/5 ☆☆☆☆☆

『シャイニング』(1980年)が非常に好きで、その40年後を描いた続編と聞き、期待して「フォーラム山形」で見た。原作小説は読んでいない。

まず、ダニー少年はあのホテルでの惨劇の後、亡霊に取りつかれ、大人になったダニーも亡霊の幻影から逃れるために、父親の様にアルコール依存症になっているのが可哀そうである。

映画の前半は、アブラとダニー対ローズと真の絆(トゥルー・ノット)の戦いが中心であった。真の絆はシャイニングを持つ子供の生気を食らう怪物で、野球少年を苦しめて生気をむさぼる場面は何ともおぞましい。真の絆の存在を知ったアブラと、彼女を殺そうとするローズ。頭の中を覗けるアブラとローズは、お互いを罠にかける心理戦がなかなかスリルある。

ダニーの回想で、ホテルの廊下を少年のダニーが三輪車で走る場面や、237号室の浴槽の老婆の亡霊が、前作とほぼ同じ構図で登場するのを見て、『シャイニング』ファンとして歓喜した。さらに前作の鏡文字の「REDRUM」が本作では鏡に映ってと、凝った登場の仕方も感心した。死んだハロランが亡霊で登場し、生前と同様にダニーに助言するのも嬉しい。

さて、展望ホテルがいつ登場するのか待っていたら、何とクライマックスのローズとの決戦の場ではないか。川の中の小さな中州が映り、うっすらと雪が積もった川沿いの山道をダニーの車がホテルに向かう場面は、『シャイニング』の冒頭と全く同じ構図(ひょっとしたら『シャイニング』の画像をCG加工で雪景色に替えた?)で、体が震えるほど興奮した。

キューブリック監督の設計図を基にホテルのセットを再現したそうで、その完成度の見事さには驚く。扉の穴からダニーが覗く場面は、前作のジャックそっくりでドキドキした。エレベーターの扉から血が洪水のように溢れ出る場面も全く同じ構図(血の奔流が若干違うので新撮かな?)で感心した。前作でジャックを誘い込んで凍死させた巨大庭園迷路(俯瞰図が前作と若干違う)に、本作でもローズを誘い込んだので、ここで前作同様に決着を付けるのかと思ったら失敗し、決戦はホテル内であった。前作で階段のバットを持った妻ウェンディにジャックが迫るように、階段にいる斧を持ったダニーにローズが迫る。本作は逆にダニーがローズに斧で斬られるのが痛々しい。ローズのとどめは、ダニーが箱に閉じ込めていた亡霊を解き放つことによってだった。ジャックやグレーディー、彼の双子の娘、頭から血を流した男の亡霊など、前作そっくりの亡霊逹がローズに襲い掛かる場面が非常に良い。

最後にボイラーが爆発し、ホテルが火に包まれる。これは小説『シャイニング』の最後と同じであり、映画と小説両方の『シャイニング』の落とし前をきちんと付けたという事か。原作者のスティーブン・キングが気に入ったのも納得できる。アブラも自分の生きる道を見つけ、良い終わり方であった。

よくぞここまで丁寧に続編を作ってくれたと感謝したいほどだ。評価は「5」である。

原題は『DOCTOR SLEEP』。邦題も同じ。ホスピスで働いていたダニーが、死にゆく老人に安息をもたらして付けられた名前である。

 

 

 

 

 

 11月8日(金)日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で『IT “それ”が見えたら終わり』第1章の初地上波テレビ放映が行われた。映画のオリジナルがR+15なので、それに該当する場面をカットして放映した。放映でカットされた主な場面を挙げる。

 

① 雨水の排水口にいたペニーワイズにジョージーが噛みつかれて腕が切られる。腕を失ったジョージーが道路の中央付近まで這って逃げるが、ペニーワイズの腕が伸びてきて、ジョージーを捕まえて、排水口に引きずり込む。

② 排水口の向かい側の家の婦人が排水口を見ると、誰もいない。

③ マイクの祖父は精肉業をしており、祖父が羊の額に屠殺用の十を当てて殺す。マイケルは羊を殺すのをためらう。

④ ベンがヘンリー達グループに捕まり、ヘンリーがベンの腹にナイフでHの文字を彫る。

⑤ 負け犬クラブのメンバーが下着姿で川に飛び込んで遊んだ後、岸に上がって休憩する。ベバリーが下着姿で寝ている姿を、少年たちがドキドキしながら見ている。

⑥ ベバリーが家のバスルームの洗面所から声が聞こえるので、排水口を覗きこむと、髪の毛が出て来て頭を縛り、大量の血が噴き出す。

⑦ マイクを殴っているヘンリーたちに少年たちが石を投げて撃退すると、ヘンリーが泣く。

 負け犬クラブのメンバーが井戸小屋へ入ろうとするが、スタンリーは理屈をつけて入らない。

 井戸小屋の中で、ペニーワイズをベバリーが鉄の棒で刺す。

 骨折したエディが薬局に行くと、薬局の娘がエディのギブスに「LOSERS負け犬)」と落書きする。

⑪ ヘンリーが郵便受けに入っていたナイフで、父親の首を刺して殺す。

 負け犬クラブのメンバーが2回目に来て、井戸小屋の井戸にロープで降りていく。最後にマイクが下りようとすると、ヘンリーがナイフを持って襲ってくる。マイクは必死に反撃して、ヘンリーを井戸の底へ突き落とす。

⑬ 井戸小屋の地下で、スタンリーが実体化した家の絵の不気味な女性に頭を噛まれる。

⑭ 血の誓をするため、ビルがガラス瓶の破片で負け犬クラブのメンバーの手のひらを切り、傷口から血が噴き出す。

 

 カットしたと分かったのは以上の個所だが、これ以外にも細かい所がカットされているかも知れない。 主に、人(ペニーワイズも含む)を傷つける場面、人や動物を殺す場面、血が噴き出す場面、性的な連想の場面がカットされているようだ。それに該当しない②⑦⑧⑩は時間短縮のためだろう。合計で約30分の大幅なカットである。

カットされため、いつの間にかエディのギブスに落書きがあったり、いつの間にかスタンリーの顔の噛まれた傷があったり、井戸小屋に行くビルが屠殺用の銃をなぜ持っているのかなど、不明の部分が出てきた。また、もともとあまり怖くない映画だったが、大幅カットによってさらに怖くなくなった。

さらに、テレビ放送版を見てから第2章『IT/THE END』を見た人は、スタンリーが自殺した理由、下水口から川にヘンリーが流されてくる理由、ベンの腹にHの文字が浮き出る理由などが分からないと思う。『IT/THE END』を見る場合は、その前にぜひ『IT』第1章のノーカット版を見るのをお勧めする

 

 

 

 

11月29日(金)に『シャイニング』(1980年)の続編の『ドクター・スリープ』が公開になるので、復習のためDVDで見直した。

まず、ジャック・ニコルソンの演技が素晴らしい。面接を受けている時は真摯な態度。ホテルで小説を書いている時はいら立って妻に癇癪を起こす。その後は熱心に原稿を書いていると思ったら、用紙は無数の「All work and no play makes Jack dull boy」の文が並び、所々打ち間違いがあったり、レイアウトが変わったりしている。ジャックが今までずっとこれをタイプしていたと思うと、その狂気に震える。さらにジャックが無人のカウンターで酒を欲しがるとバーテンが現れ、237号室(おそらく元管理人が死体を隠した部屋)で若い女性と腐乱した老婆を目撃し、家族を惨殺した元管理人に家族を厳しく躾けるように言われる。かっとなって息子を怪我させた事があると言っていたように、ジャックには元々このホテルに住み着いている魑魅魍魎に憑りつかれる隙があったようである。ついにジャックは、元管理人と同様に斧で妻と息子を襲う。ジャックの精神が次第におかしくなっていく描写が実に怖い。

ジャックが斧でドアを打ち破り始め、妻が恐怖にかられる場面は、何十テイクも撮り直ししたそうで、シェリー・デュバルの迫真の演技である。

息子のダニーは、テレパシーで会話し未来や過去の映像が見える能力「シャイニング」を持っている。エレベーターの前の廊下に洪水のような大量の血が溢れる映像、双子の少女が立っている映像が繰り返し見る。これは過去のイメージ映像か。ドアの「REDRUM」の文字の映像は、ジャックの殺人の予知か。ただ、テレパシーでハロランに危機を伝えないのはなぜ?題名が「シャイニング」だが、能力は本筋とはあまり関係ないのが残念である。

ジャックとダニーが見たのは単なる幻像と思ったら、ダニーが怪我し、ジャックが閉じ込められた食品庫の鍵をグレイディが開けるなど、幻像が次第に現実を侵食し始めるのが怖い。さらに妻までが、終盤では頭から血を流している魍魎の姿やエレベーターから溢れ出す大量の血が見え、ホテルに住み着く魑魅魍魎の影響が拡大しているようで怖い。

最後にジャックは凍死するが、ホテルのラウンジに飾られている昔の写真の中にジャックが写っていた。元管理人が言っていた、ジャックがずっと昔からここの管理人だった話はこれかと思った。この結末はわかりにくいが、ジャックはホテルの魑魅魍魎の一つになる運命だったのだろう。

ステディカム撮影を初めて劇場映画に使った事でも有名な作品である。今までの移動撮影は場面がぶれるのが常識だったが、ダニーが三輪車でホテルの廊下を走る映像や、巨大迷路の中を逃げるダニーをジャックが追いかける映像などはぶれがなく、静かな映像が恐怖を募らせる。双子の少女のシンメトリック、どこまでもどこまでも同じ光景が続く巨大迷路など、映像も見事である。

血生臭いスプラッター映画と違い、精神的に怖いホラー映画の傑作である。評価は「5」である。

 

 

 

 

 

 

11月29日(金)に『シャイニング』(1980年)の続編の『ドクター・スリープ』が公開になる。それを見る前に復習のため『シャイニング』のDVDを見直したので、あらすじを載せる。

 

監督:スタンリー・キューブリック

主な登場人物(俳優)役柄

ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)小説家。展望ホテルの冬期管理人になる。

ウェンディ・トランス(シェリー・デュバル)ジャックの妻。

ダニー・トランス(ダニー・ロイド)ジャックの息子。

ディック・ハロラン(スキャットマン・クローザース)ホテルの料理人。

スチュアート・アルマン(バリー・ネルソン)ホテルの支配人。

デルバート・グレイディ(フィリップ・ストーン)ホテルのウエーター。元管理人。

ロイド(ジョー・ターケル)ホテルのバーテンダー

浴室の若い女(リア・ベルダム)237号室の浴室にいた女。

浴室の老女(ビリー・ギブソン)237号室の浴室にいた女。

グレイディの娘(リサ・バーンズ)グレイディが殺した双子の娘。

グレイディの娘(ルイーズ・バーンズ)グレイディが殺した双子の娘。

 

川沿いの山道を進む車。

(オープニングクレジット。タイトル)

 コロラド州、展望ホテル。

【インタビュー】ジャックはホテルの支配人のアルマンに会う。ジャックはこのホテルの冬期間の管理人の面接を受けに来た。ホテルは冬の5か月間閉鎖され、雪の被害を受けないようにボイラーを燃やして毎日建物の違う場所を温める仕事だ。ジェックは作家で、新作を考えるのに良いと答える。アルマンは、孤独に耐えきれない者もいて、1970年の冬、管理人のグレイディの気が狂い、斧で二人の娘と妻を殺害し、死体を西側の部屋に隠し、自分は猟銃を口にくわえて自殺したと教える。ジャックは、妻は面白がると答える。

 家で妻ウェンディと息子ダニーが待つ。ダニーの空想の友達トニーは行きたがっていなかった。

 ウェンディにジャックから、採用が決まったと電話が来る。トニーは何か知っており、ダニーはエレベーター前に洪水の様に大量の血が溢れ、双子の少女が立っている幻影を見て恐怖にかられる。

 【ホテル閉鎖の日】ジャックが車を運転し、ウェンディとダニーを乗せてホテルに向かう。ウェンディは、遭難して仲間の人肉を喰ったドナー隊が遭難した所と言うが、ジャックはもっと西だと答える。

 ホテルは閉鎖の準備中だった。アルマンとビルはジャックとウェンディに、ホテル内のコロラド・ラウンジや管理人室を案内する。次に外を案内し、ホテルは1907年着工、2年後に完成と教える。車庫に雪上車がある。ダニーがゲーム場でダーツをしていると、双子の姉妹を見る。

 ハロランがウェンディとダニーを台所に案内する。冷凍庫、食料庫に1年分の食料がある。ダニーはハロランが頭の中に話しかけるのを聞く。

 ハロランはダニーにアイスクリームを御馳走し、彼は祖母と口を動かさないで会話ができ、その能力を「シャイニング」と呼ぶと教える。ダニーもそうだった。ダニーは「トニーが眠らせて、いろいろ見せてくれる」と話す。ハロランは「出来事によっては特別の跡を残すこともある。誰にでも見えるわけではなく、シャイニングが必要だ。未来や過去が見える。ホテルは長い年月の間には悪い事もあった」と話す。ダニーは「237号室に何かあるの?」と聞くが、ハロランは「何もない。だから近寄るな」と警告する。

 【1か月後】ダニーはホテルの1階の廊下を三輪車で走る。

ウェンディが部屋に食事を持って来ると、ジャックが寝坊していた。ウェンディは散歩に誘うが、ジャックは早く新作を書きたいと断る。アイディアをいろいろ考えたがだめだったと言う。

 ジャックはホールで、タイプライターに向かわず、壁にボールを投げる。

 ウェンディとダニーは巨大迷路の中を散歩する。迷路は複雑で、なかなか抜け出せない。

ジャックはホールにある巨大迷路の模型を上から覗き込む。ウェンディとダニーは巨大迷路の中央にいた。

 【火曜日】ダニーがホテルの2階廊下を三輪車で走り、237号室の前で止まる。ダニーがドアを開けようとすると、鍵が閉まっていた。双子の少女の幻影が見え、ダニーは急いで三輪車で去る。

 ホールでジャックがタイプを打っている。ウェンディが来て調子を聞くと、ジャックは邪魔するなと注意する。

 雪が降り、外でウェンディとダニーが遊ぶ。その様子をジャックが凝視する。

【土曜日】ホールでジャックがタイプを打っている。ウェンディは電話が通じない事を知る。支配人室の無線で森林警備隊に、電話が通じないと連絡するが、警備隊は大雪で修理は無理と回答する。

ダニーが三輪車でホテル内を走る。廊下の突き当りに双子の少女がいて「一緒に遊ぼう」と誘う。

ダニーは廊下に少女逹の惨殺死体を見る。

再び見ると消えていた。ダニーが「恐い」と言うと、トニーは「本物じゃない」と答える。

【月曜日】ダニーが部屋に入ると、ジャックがベッドに座ってぼーっとしていた。ダニーはジャックに病気かと心配すると、ジャックは山のように仕事があって疲れた、眠れないと言う。ジャックはダニーの質問に「ここが好き。いつまでもいたい」と答え、ダニーは「だろうね」「母や僕をいじめないで」と言う。ジャックは「愛している。絶対にいじめない」と答える。

【水曜日】ダニーが廊下で車のおもちゃで遊んでいると、どこからか黄色のボールが転がって来る。ダニーが母親だと思って探しに行くと、237号室のドアノブに鍵が刺さって開いていた。

ウェンディがボイラー室で点検していると、声が聞こえる。ジャックがホールのタイプライターの前で居眠りをして、うなされていた。ウェンディが起こすと、ジャックは妻と息子を殺した夢を見たと言う。ダニーがやって来ると、服が破れ首に怪我をしていた。ウェンディはジャックがしたと思う。

ジャックは怒ってゴールド・ルームのバーに行き、無人のカウンターに座る。酒を欲しがると、バーテンのロイドが酒を出す。ジャックは息子に暴力していないと、ロイドに愚痴を言う。

ウェンディがジャックを探しにバーに来る。彼女は、ダニーが237号室の中の女に首を絞められたと話す。

ハロランは自宅で、コロラド州が大雪のTVニュースを見て、何かを感じる。

237号室にジャックが入ると、風呂に若い女性が入っていた。ジャックが全裸の女性にキスすると、老婆の腐乱死体に変わっていた。ジャックは部屋から逃げ出す。

その様子をダニーが感じていた。

ハロランがホテルに電話するが通じない。

ジャックはウェンディに、237号室には誰もいないと報告し、ダニーの傷は自分で付けたと言う。ダニーはドアの「REDRUM」の文字と、エレベーター前が血の海になる幻影を見ておびえる。ウェンディはホテルを出ようと言うが、ジャックは管理人の責任があると反対する。

ジャックは癇癪を起こして食堂の重なった食器を倒す。ゴールド・ルームに行くと、廊下が飾られ、音楽が流れていた。

ハロランは森林警備隊に電話して、ホテルに電話が通じないと言い、管理人一家の安否を聞く。警備隊は無線でホテルに問い合わせる。

ジャックがゴールド・ルームに行くと、沢山の客がいた。ジャックはカウンターのロイドに酒を注文して金を払おうとすると、金は要らないと言われる。

ジャックがウエーターにぶつかり、服が汚れる。洗面所でウエーターがジャックの服を拭く。ウエーターは前の管理人のグレイディだとジャックが思うが、本人は否定してジャックがずっと昔からここの管理人だったと言う。さらに、息子が黒人の料理人をこの世界に呼ぼうとしている。息子は超能力の持ち主で、ジャックを邪魔するつもりだと警告する。ジャックは母親が悪いと言う。グレイディは厳しくしつける必要があると言い、二人の娘と妻をしつけたと話す。

ジャックは支配人室で森林警備隊が呼んでいる無線を壊す。

ハロランは飛行機と車を乗り継いでホテルに向かう。道は大雪で事故が発生していた。

ウェンディはバットを持ってジャックを探す。ホールのタイプライターの沢山の用紙は全て「All work and no play makes Jack a dull boy(仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う)」と書かれおり、ウェンディは驚愕する。

そこにジャックが来る。ウェンディはジャックに話があると言い、ジャックはダニーの話かと尋ね、近寄る。ダニーはエレベーターの前の血の海を見る。

ウェンディにジャックが、ホテルの管理を任された責任があると責めながら近づく。

ウェンディはバットを振り回すと、ジャックに当たり、ジャックは階段を転げ落ちる。ウェンディはジャックを食料庫に閉じ込め鍵を閉める。ウェンディは護身用に台所の包丁を取る。ウェンディが雪上車を見に行くと壊されていた。

【午後4時】食料庫でジャックが寝ていると、扉の外のグレイディが、さらに厳しい態度で臨むように誓わせて扉を開ける。

ハロランは雪上車でホテルに向かう。

部屋でダニーは「レッドラム」と呟き、母の口紅でドアに「REDRUM」と書く。

ウェンディが目を覚まして鏡を見ると、ドアに「MURDER(殺人)」と書いてあって驚く。ジャックが斧で部屋のドアを破壊し始める。

ウェンディとダニーは風呂場に逃げるが、窓が少ししか開かず、ウェンディはダニーだけ脱出させる。ジャックは風呂場のドアも斧で破壊し始め、ウェンディが恐怖で悲鳴を上げる。

ジャックは破壊したドアの隙間から顔を出し、「お客様だよ」と話す。

ドアの隙間から鍵を開けようと延ばしたジャックの手に、ウェンディが包丁で切りつける。

ハロランは雪上車でホテルに着く。その音を聞いたジャックは外に向かう。ダニーは食堂の棚に隠れる。

ハロランがホテルに入る。ジャックが斧でハロランに襲い掛かって殺す。それを感じたダニーが悲鳴を上げ、ジャックに見つかって逃げる。ウェンディがホテル内でダニーを探すと、他の客を見つけて驚く。

ダニーは外に出て巨大迷路の中に逃げる。ジャックがダニーの足跡を追いかける。

ウェンディはハロランの死体を見つける。頭から血を流した客を見て、悲鳴を上げる。

ダニーは途中から足跡を後戻りして足跡を消し、脇の迷路の植え込みに隠れる。

ウェンディがエレベーター前に行くと、大量の血が洪水のように噴き出るのを見る。

ジャックは足跡が消えたのに戸惑い、周りを探す。その隙にダニーが足跡を逆にたどって出口に向かう。ジャックはであたりをでたらめに探し回る。

ウェンディは外の雪上車に行くと、巨大迷路からダニーが出てきて、一緒に雪上車で逃げる。ジャックは迷路で叫びまわる。

次の朝、ジャックは凍り付いて死んでいた。ホテルのコロラド・ラウンジの壁の沢山の写真の中の1つ、「展望ホテル1921年7月4日舞踏会」の写真の中央にジャックが映っていた。

(エンドクレジット)

(写真は英語版「IMDb」より転載)

 

 

 

 

 

 

 

評価 4/5 ☆☆☆☆★

前作『アナと雪の女王』(2014年)が非常に良かったので、その続編の本作『アナと雪の女王2』も期待した。今回は「ソラリス」で吹替版を見た。

再びエルサとアナに会えたのが嬉しい。前作の3年後の話だそうで、2人の顔が少し大人っぽくなり、エルサには女王としての気品さえ感じるのに感心した。ノーサルドラの森の落ち葉や雄大な風景の描き方が繊細であり、描写と見まがうほどである。ダーク・シーの波の描写も本物の波のようであり、海に落ちて濡れたエルサの髪の質感も素晴らしい。CG技術の発達に感心した。

さて、前作ではエルサとアナの両親のアグナル国王とイドゥナ王妃は、物語の前半で船が沈没して死亡し、ほとんど登場場面がなかった。本作では、2人の娘にアグナル国王が魔法の森の話を聞かせる場面や、イドゥナ王妃が2人の娘に「アートハランの子守唄」を聞かせて寝かしつける場面があり、親子の愛情が感じられて微笑ましい。後半、エルサを呼ぶ歌声の主が母のイドゥナだと分かる。両親が船で出かけたのは、エルサがなぜ魔法の力を持つようになったのか知るため、全ての記憶があると言うアートハランの川へ行こうとしていたためだと分かる。さらに少年のアグナルが少女のイドゥナに助けられていることが分かる。このように本作では、両親が話の重要な鍵になっているのに感心した。さらにさらに、アレンデールとノーサルドラの争いの原因は、祖父ルナード国王の陰謀だったと言う、3代に渡る壮大な話になっているのに感心した。

前作で、なぜ両親が船で出かけたのかの謎解きになっている他に、エルサがなぜ魔法の力を持つようになったのか、理由が解明され、前作の疑問点を解決しているのに感心した。

魔法の力を持つエルサは、母イドゥナの出身地であるノーサルドラで第5の精霊になり、アナはアレンデールの女王になる。2人のそれぞれの適性を生かした良い結末である。2人は離れて暮らすが、風の精霊が手紙を運び、週末にはエルサが城に帰って来る等、姉妹愛は続くと分かって楽しい。

ただ、前作は姉妹の確執を越えて理解し合い、本当の愛は姉妹愛だと分かる感動的な話だった。本作は両親の愛情を知る話だが、前作ほどの感動がない。前作は、永遠の冬に閉ざされたアレンデールの危機を救う話だったが、本作のノーサルドラの霧を晴らす話には、それほどの危機感がない。途中まではエルサとアナが協力し合うのが良かったが、後半みんなバラバラになるのが残念。また、祖父ルナード国王がダムを造ったのはノーサルドラへの罠だそうだが、どこが罠なのかよく分からなかった。

前作ではエルサが今までの自分を捨てて自由に生きる決心を歌った『Let It Go』「ありのままに」に感動したが、本作の『Into the Unknown』「心のままに」はあまり感動しなかった。

従って、前作の評価は「5」だったが、本作の評価は「4」である。

原題は『FROZENⅡ』「氷結2」で、前作でも述べたが邦題の方が分かりやすい。