図書館で大好きな

金子みすゞさんの詩を

読んでいたら。

とても素敵な詩をみつけました。





着ているものは  しなやかなのに

         金子 みすゞ


人のお太鼓を水平に直すひと

半襟三分出過ぎたと気にするひと

金銀でピカピカに光っているひと

汚しちゃいけないと動けないひと

へあーすぷれいで髪の毛、がちがちのひと

いばっているみたいに、とても偉そうなひと

みんな、なんだか、力こぶ

息苦しさが、かはいそう

着ているものは、しなやかなのに



お太鼓がななめでも、

半襟たっぷり出ていても

安くて古くさい着物でも

袂ひらひら走り回っていても

鏡を見ないで結った髪でも

しなやかに着て、力も抜けると、

知らぬ間に、ほほえんでしまうように


きもちもしなやかになれたら、

ひとにもやさしくなれるでそうか



長襦袢がはみ出ていても、

頭がスパークして見えても、

着物も心もしなやかに

ひとにやさしくなりたいです。