染めていない自然のままの糸や生地の色で、黄みがかった白色をしています。

生成りという言葉は江戸時代からすでに使われていたようですが、江戸時代の生成りは、素朴で飾り気がなく気の向くままの意味で、本来なら『気成り』と書く方が近いようです。


生成り色は自然破壊が問題となっていた昭和後期、染色しない、漂白しない事で地球環境に優しい、自然志向の高まりと共に誕生した色名です。


色彩心理的に生成り色には『リラックス』『穏やか』『自然志向』『明るい』『開放的』『前向き』『癒される』『落ち着いた』等のプラス面と『地味』『ごまかし』『曖昧』等のマイナス面があります。


生成り色が好きな人は、控え目で落ち着きがありますが、周りに合わせすぎて、疲れてしまうところがあるようです。


類似色には、オフホワイトやアイボリー等があります。


生成り色が美しい絵画を探してみました。



アーサー・ハッカー『受胎告知』





フランツ・ヴィンターハルター

『Carmen Duchesse de Montmorency』





カール・ホルスーウ『窓のそばで待つ』





ペーダー・セヴェリン・クロイヤー

『Summer Evening on the Skagen Southern Beach with Anna Ancher and Marie Kroyer』





ウィリアム・アドルフ・ブーグロー『少女』





ウィリアム・ヘンリー・マージェットソン

『Sand Castles』




ジェームス・マクニール・ホイッスラー

『Symphony in Flesh Colour and Pink』




ギュスターヴ・ジャケ『Mademoiselle』





アンドリュー・ワイエス『聖霊降臨祭』





アンドリュー・ワイエス

『Wind from the Sea』





アンドリュー・ワイエス

『マスターベッドルーム』



アーサー・ハッカーの『受胎告知』は、マリアのドレスがシフォンのような透明感があり、天使の羽衣が風になびいて、画面全体に柔らかな風が吹いているようです。

天使が手に持つ百合は、太くてしっかりとした一輪が描かれ、伝えたい事の重要性がこの一輪の百合にこめられているようです。


アーサー・ハッカー(1858〜1919)はイギリス古典主義の画家として知られ、この作品のモチーフも古典的ですが、ルネッサンス時期の受胎告知とは異なり、独特の軽ろやかさと温かさがあり新鮮ですね。


アンドリュー・ワイエスが描いた『聖霊降臨祭』は、画家がメイン州アレン島に滞在していた時に、一人の少女が嵐の最中に波にさらわれ、帰らぬ人となった事故から魚網を少女の魂として描いた作品です。

本人のコメント「この絵は美しいと思うがこんな風に言えるのは私の作品はほんのわずかだ。これを描いている時、私は何かの魂を感じて、その魂となんとか交感しようとした。...」


展覧会でこの作品を観た時、キャプションを観るまでは、海風の強い日に魚網を干している様が伸びやかで気持ち良く、瞬間的にこの作品が好き!と思いました。

その後解説文を読み、海で亡くなった少女の魂を描いた作品と知り、生きた時間の長さではなく、少女自身精一杯に生ききった人生だったのでは!と直感的に感じました。



生成り色のようなナチュラルカラーの絵画には、原点回帰に繋がるような大切な何かを秘めた奥深さがあり、見るたびに印象が変わります。


🐑🦙🐇🐖🐈 🐑🦙🐇🐖🐈 🐑🦙🐇🐖🐈


〜生成り色を素敵に着こなすには〜


①ナチュラルに控え目なコーディネートは、悪目立ちせず穏やかな人柄が滲み出てきます。


生成りと白やグレージュ等の組み合わせは、自然体でさり気ない人に見えます。







②反対色との組み合わせは洗練されてモダンな印象です。


生成りのトップスに黒や紺など濃い色のボトムスとの組み合わせは、明度対比効果で顔周りが明るく、下半身が細く見え、メリハリのあるコーディネートは年齢を問わずおすすめです。







初夏に相応しい生成り色のコーディネートで、ご自分らしいおしゃれにチャレンジしてみてはいかがでしょう。


🐑🦙🐇🐖🐈 🐑🦙🐇🐖🐈 🐑🦙🐇🐖🐈


色を楽しむ素敵なあなたへ...


最後までお読みいただきありがとうございます💕