寒さの厳しい冬になっても葉が落ちることがない常緑樹である松は、古くから長寿と繁栄を象徴する縁起物とされてきました。 


深くて渋い緑色である松葉色は、おめでたい色の代表格として、平安時代からある日本の伝統色です。

平安時代の重ね着で、松の葉をイメージした『松重ね』は、表が緑、裏が紫で祝いの席で着用されていました。


お正月にやってくる福の神、年神様の目印として家の門口に立てる門松は、松の他に真っ直ぐに伸びる竹や梅などおめでたい植物を組み合わせますが、吉事に欠かせない永遠不滅の象徴色です。



角松は正月事始めの12月13日以降ならいつでも飾って良いとされますが、二重苦に繋がる29日と、一夜飾りとなる31日は表に出すのは避けるのが一般的と言われています。


能舞台に描かれている松の木の緑色は、永遠性を象徴しています。


色彩心理的に松葉色のような濃い緑色には『安定』『安心感』『健康』『安らぎ』『癒される』『平和』『落ち着き』『生命力』『調和する』等のプラス面と『苦み』『受動的』『保守的』『退屈な』等のマイナス面があります。


松葉色のような緑色が好きな人は、道徳心が厚く社会参加意識が高いのですが、少々事なかれ主義で画一的なところがあるようです。



松葉色の類似色には、常盤色や千歳緑等があります。



松葉色のような濃い緑色が美しい絵画を探してみました。


鈴木其一『懸蓬莱図』





鈴木其一『富士千鳥筑波白鷺図屏風』





狩野探幽『松に孔雀図』





尾形光琳『松島の図』





川端龍子『炎庭想雪図』





伊藤若冲『雪中錦鶏図』





笠松紫浪『月の出 根津権現』





榊原紫峰『雪中棲小禽』





野地美樹子『深々』





田中一村『不喰芋と蘇轍』





アンリ・ルソー『待ち伏せする虎』





ヤン・ファン・エイク

『アルノルフィーニ夫妻の肖像』



ヤン・ファン・エイクの『アルノルフィーニ夫妻〜』は、無造作に置いたサンダルや夫妻の手の繋ぎ方、鏡に写る人物など、描かれているモチーフの一つ一つに謎が多く、美術史上重要な作品と言われていますが、実際に観覧すると、最初に妻の濃い緑色のドレスが目に飛び込んできます。



(2019年7月、ロンドンナショナルギャラリーにて撮影)



1434年の制作となっていますので、当時は化学染料が無かった時代に、濃い緑色に染められた布はかなり高価だったと思われます。


マラカイトの鉱物を細かく砕いて作られた高価な緑色の絵の具を、画家は惜しげなく使用した事が伺える鮮やかな色です。


ドレスのお腹周りにはドレープがあり、一見妊娠しているように見えますが、当時流行りのデザインだったようです。


妻は若くて、夫とは歳がかなり離れているように見えますね。

夫妻は子供を望んでいたとも言われていて、懐妊を予感させるようなドレープのドレスを、画家にリクエストして描いてもらったのでは?など、様々な想像が浮かんだ絵画でした。


この作品で最も目立っている緑色のドレス。

裕福な夫妻は色々なドレスを持っていたに違いないと考えると、あえて緑色のドレスを選んだ意図が見えてきます。


緑色は調和や健康、安心や安定を表す色であり、バランス感覚を表す色です。

夫は二度目の結婚だったようで、安定した結婚生活を望んでいたと想像できます。



その他、恒常的な緑が心地良い絵画には永遠性が感じられ、穏やかで落ち着いた気分になりますね。




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〜疲労を感じた一日の終わりには〜


色と一緒に香りを楽しめる入浴剤には、高いセラピー効果があります。

忙しい日々が続き、心も体もクタクタになった時は新緑の香りがする入浴剤で森林浴の気分を味わいましょう。


バスルームに小さな観葉植物を置いたり、緑色のバスタオルを使ったり、緑色をテーマにしたバスタイムを演出すると、更に効果がアップします。



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色を楽しむ素敵なあなたへ...


最後までお読みいただきありがとうございます💕