前回に引き続き、日本の夏の伝統色と、それにちなんだ日本画をご紹介します
金魚づくしは全部で9図あります
最初の絵は団扇を持ってぼんぼん唄で練り歩こう!という金魚が擬人化された絵です
二番目の酒のきざしは、大宴会でしょうか…
三密の心配がなかった江戸時代の宴会は飲めや唄えの大騒ぎだったことでしょう
江戸も後期になると、金魚が多くの家庭で飼われていたようです
身近で親しみやすい金魚をユーモアたっぷりに描いた国芳の絵は、思わずどれも微笑んでしまいますね
(青系の伝統色)
ルリビタキの青はまさに瑠璃色ですね
ラピスラズリの鉱石を和名で瑠璃と呼びます
西欧のウルトラマリンとほぼ同じ色です
瑠璃色が美しい日本画と言えば、
山種美術館で初めて見た時、群青と緑青の二色の岩絵の具だけで描いたような錯覚を覚えました
初夏の夕暮れ、山仕事を終えて家路につく人々や、山や道も瑠璃色に覆われ、穏やかな色調は、洛北の清々しい空気が辺り一面に漂っている印象です
青と緑の組み合わせには、癒し効果があり、色彩心理的には、『清潔感』や『清涼感』を表します
御舟が24歳の時に描いたこの作品は、何にでもチャレンジしてみようという意気込みのようなものが感じられ、余計な色彩を排除したことで、自然が豊かで牧歌的な農村の美しさが伝わってきます
(青系の伝統色)
浅葱色は、ネギの薄い葉色です
水浅葱は浅葱色に白を混色した、明るく柔らかな色彩です
小坡の描く女性は、切れ長の目で芯の強そうな顔立ちと、おしゃれに対して手抜きが無く、美意識が高い印象です
しかも肩の力が抜けたような柔軟性が感じられ、画家の人間的な魅力が作品に反映されているのでしょうか…
女性画家の描く女性像には、同性としての理想像もあるようです
(無彩色の伝統色)
浅葱色を基調にした鼠色です
梅雨時は大気がぼんやりと霞んで、グレイッシュな色彩が多く、青や緑、紫とグレーを掛け合わせた色彩が多く見られます
江戸時代、鼠系統の色は百色以上あると言われ、色を楽しむ粋な人に好まれていました
(過去のブログ、日本の伝統色〈江戸時代の流行色 、鼠系あれこれ〉で詳しくご紹介しています)
浅葱鼠のようなほんのり青く淡い鼠色の日本画(版画)と言えば、
古邨は、鯉の絵を沢山描いていますが、水の色に溶け込んだ柔らかな色調ですね
鯉が大きく飛び跳ねている躍動感から、活動的な夏の季節を思わせます
(緑系の伝統色)
青々と成長した竹の色で青みがかった緑色です
参考までに、若竹色は黄みの強い緑色で春の伝統色、老竹色は茶色がかった緑色で秋の伝統色です
江戸時代中期に生まれた色名です
青竹色のような青緑が美しい日本画と言えば、
横浜美術館でこの絵を見た時、瑞々しい青葉に、紅白の花がリズミカルで、忘れられない絵として心に残っていました
古径の描く絵は、大胆な構図やインパクトのある色の組み合わせが多く、それゆえ記憶に残るのでしょう
芥子の全体図が描かれた絵はこれまであまり記憶になく、構図の面白さも記憶に残る要因の一つですね
🌈🎋🌊🎇🌈🎋🌊🎇🌈🎋🌊🎇🌈🎋🌊🎇
夏の伝統色はまだまだあります
次回へ続きます…^^
色を楽しむ素敵なあなたへ…
最後までお読みいただきありがとうございます💕