私小説のスペシャリスト、島尾敏雄氏の『死の棘』を読みました。
【あらすじ】
思いやりの深かった妻が夫の〈情事〉のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりこになって憑かれたように夫の過去を暴きたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日々の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?ーぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた壮絶な人間記録。
☆★○●◎◇◆□■△▲▽▼
いや~壮絶です。円満で夫婦仲のよい家庭で育った方、特に独身男性は読まれないか、覚悟して読むことをお勧めします
小説家の夫トシオは10年前から特定の女性やときには不特定の女性と不倫しています。
そして子供のころから欠かさずに続けている日記にそのことをこっそりと書き記していました。
妻のミホがある日偶然その日記を見てしまったことにより、家庭が崩壊していくのです。
それまでは、ユーモアがあり面白いことを考えたり夫や子供のことをいつも一番に考えて頑張っていたのですが、心を病んだ妻は豹変してしまいます。
ある時は、
素直に裏切りを認め謝りこれからは家族のことをだけを考えて生きていくと誓うトシオを許して、「みんなで幸せになろう」と言うミホですが、
しばらくすると、
「女とどこへ行ったのか?どんな映画を見たのか?どんなプレゼントをしたのか?女にいくら使ったのか?私は全部知っているんだから、あなたの口から正直に全部包み隠さず話してほしい。これ以上裏切られたくない。」
などと言って寝ずに責め、トシオは仕事もできなくなります。
浮気がばれてしまうまでのトシオは、三日として家で寝ることはなく、多いとはいえない給料を渡しても当然と考え、いつも難しい顔をしていて、子供を連れてどこかへ出かけることはなく、子供がうるさくするとそれこそ迷惑顔で自分一人でどこかへ行ってしまうことがしょっちゅうでした。
そんなトシオのことをミホは少ないお金でやりくりしながら、文学という芸術を仕事にしているのだから仕方がないと考えて支え続けてきたわけです。
それが、トシオの裏切り、それも子供たちが生まれるずっと前からだったという事実におかしくなってしまうのでした。
怒り狂いおかしくなるミホも可哀想ですが、反省しても終わることのない責めにおかしくなっていくトシオも可哀想です。
しかし、一番の犠牲は六歳の息子と四歳の娘でしょう。
毎日のように繰り返される夫婦喧嘩や家事放棄に、
息子はそれまでの輝いた目を失い、白い冷めた目していつ死んでもいいと捨て鉢になり
物事がまだよくわからない娘も敏感に何かを感じて妙に聞きわけがよくなり騒ぐこともありません。
二人ともこどもらしさをなくしてしまうのです。
こんなに傷つけあって元に戻れないのなら別れたほうが子供のためなはずなのに、
「死にたい。自殺する。」とお互いに言いながら別れることもなく死を選ぶこともなく一緒にいるのは、
やはり心の奥底で相手を愛しているからなのでしょうか?
読んでいて一番悲しかったのは、親の犠牲になる子供たちの不憫さでした。
どんな理由があったとしても、もうちょっと子供たちのことを考えてほしかったですね。
【あらすじ】
思いやりの深かった妻が夫の〈情事〉のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりこになって憑かれたように夫の過去を暴きたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日々の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?ーぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた壮絶な人間記録。
☆★○●◎◇◆□■△▲▽▼
いや~壮絶です。円満で夫婦仲のよい家庭で育った方、特に独身男性は読まれないか、覚悟して読むことをお勧めします

小説家の夫トシオは10年前から特定の女性やときには不特定の女性と不倫しています。
そして子供のころから欠かさずに続けている日記にそのことをこっそりと書き記していました。
妻のミホがある日偶然その日記を見てしまったことにより、家庭が崩壊していくのです。
それまでは、ユーモアがあり面白いことを考えたり夫や子供のことをいつも一番に考えて頑張っていたのですが、心を病んだ妻は豹変してしまいます。
ある時は、
素直に裏切りを認め謝りこれからは家族のことをだけを考えて生きていくと誓うトシオを許して、「みんなで幸せになろう」と言うミホですが、
しばらくすると、
「女とどこへ行ったのか?どんな映画を見たのか?どんなプレゼントをしたのか?女にいくら使ったのか?私は全部知っているんだから、あなたの口から正直に全部包み隠さず話してほしい。これ以上裏切られたくない。」
などと言って寝ずに責め、トシオは仕事もできなくなります。
浮気がばれてしまうまでのトシオは、三日として家で寝ることはなく、多いとはいえない給料を渡しても当然と考え、いつも難しい顔をしていて、子供を連れてどこかへ出かけることはなく、子供がうるさくするとそれこそ迷惑顔で自分一人でどこかへ行ってしまうことがしょっちゅうでした。
そんなトシオのことをミホは少ないお金でやりくりしながら、文学という芸術を仕事にしているのだから仕方がないと考えて支え続けてきたわけです。
それが、トシオの裏切り、それも子供たちが生まれるずっと前からだったという事実におかしくなってしまうのでした。
怒り狂いおかしくなるミホも可哀想ですが、反省しても終わることのない責めにおかしくなっていくトシオも可哀想です。
しかし、一番の犠牲は六歳の息子と四歳の娘でしょう。
毎日のように繰り返される夫婦喧嘩や家事放棄に、
息子はそれまでの輝いた目を失い、白い冷めた目していつ死んでもいいと捨て鉢になり
物事がまだよくわからない娘も敏感に何かを感じて妙に聞きわけがよくなり騒ぐこともありません。
二人ともこどもらしさをなくしてしまうのです。
こんなに傷つけあって元に戻れないのなら別れたほうが子供のためなはずなのに、
「死にたい。自殺する。」とお互いに言いながら別れることもなく死を選ぶこともなく一緒にいるのは、
やはり心の奥底で相手を愛しているからなのでしょうか?
読んでいて一番悲しかったのは、親の犠牲になる子供たちの不憫さでした。
どんな理由があったとしても、もうちょっと子供たちのことを考えてほしかったですね。