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翌日――
3日後に控えた、戴冠式に参加して欲しい、とエドワードに頼まれたシリウスの一団は、舞踏会でのダンスを練習することとなった。
経験豊富な、リュウガ・ソウシ・シンは、あっと言う間にマスターしてしまうのだが…。
意外にも…
何でも器用にこなしそうに見えていたナギは…。
どうやらダンスとなると手と足が一緒に出てしまうらしい。
そして……、もともと何ごとも、人の二倍も三倍も練習しないと、人並みにならない…。
ハヤテ・トワ・○○…。
4人は猛特訓する事となった。
ナギと○○、ハヤテとトワ
というペアーとなり、エドワードの指導のもと、練習することとなる…。
練習が始まると…
「きゃっ…、痛っ!…ナギさん、あ、足踏まないで下さい」
「お、お前こそ、俺にぶら下がってんじゃねェ」
「ひいっ…!ナギさん、またっ」
「あ?…わりぃ」
ナギと○○は、お互い手をつなぎ合い、足を踏み合いながら練習していた。
その近くで、ハヤテとトワの大声が飛び交っている
「ハヤテさ~ん!そろそろ男役、代わって下さいよォ~」
「うっせーな!もう少し待ってろよ!」
「イタ、痛いですよ…。ハヤテさん、また、足踏みましたよ?」
「あー、もう、少しぐらい我慢しろよなっ!」
ぎゃあぎゃあと言い合いながら、必死になって練習する4人を見て、みんなで笑いながら…
(当の本人は必死なのだが…)
一日中練習をした。
*
日も傾き始めた頃、不意にエドワードがバンッと手を叩いた。
「さあ、今日はこの辺で練習を終えようか」
その言葉に、床にへたり込む…
ハヤテとトワ。
「ふう…、やっと終わりかよ…」
「はぁー、もう…僕、くたくたです…」
ブーブーとボヤく2人の近くで、○○もまた、床にしゃがみ込んでいると…
エドワードが、○○を呼んだ。
「○○、お前はもう少し俺と練習するぞ」
「えっ、ええーっ!」
奇声をあげながらガックリと肩を落とす○○…。
その姿をエドワードは口元を緩め見つめていた。
そして、そんな二人を部屋に残し、他のみんなは応接室に集まっていた。
応接室――
みんながソファーに、どかりと腰掛ける
ハヤテ
「なあ…、アイツと二人っきりにさせて、○○ッ大丈夫なのかよ!」
トワ
「そうですよ…。僕、なんだかエドワードさんに、○○さんをとられちゃいそうで…心配です」
リュウガ
「ハッハッハ、お前ら、正直でいいな」
シン
「まあ、ハヤテの言う通り、エドワードの、○○を見る目は普通じゃないな」
ナギ
「ああ…、そうだな」
ハヤテ
「だろ?……ちょっと覗きにいってみねーか」
ハヤテが勢いよくソファーから立ち上がると、すぐにソウシがそれを窘める。
ソウシ
「こらこら、ハヤテ…。心配なのは分かるけど、そんな無粋な真似はやめなさい…」
ハヤテ
「んだよ…。ちぇっ…」
ソウシに窘められ、ハヤテは渋々ソファーに腰を下ろした。
みんなは覗きに行きたい衝動に駆られるが…。
ソウシに一喝され、イライラしながら待っていた
*
しばらくして扉が開くと――ガックリと肩を落とし疲れ果てた○○が、みんなの所に戻ってきた…。
○○はヨロヨロとソファーまでくると、倒れ込むように座り込む。
「はぁー。すごく疲れました…」
そして、おもむろに靴を脱ぎはじめると…。
「もうーッ、手も足もパンパンですよォ……」
後から入って来たエドワードを気にすることなく、手足をブラブラ振りはじめる。
その姿に、みんなは想像していたような、色っぽいことはなかったんだと胸をなで下ろすのだが……。
そんな姿も愛おしい、という目で見つめるエドワードを見ると…
心穏やかではいられなかった…。
翌日も、朝からダンスの練習をするシリウスの面々。
途中、執務でエドワードは席を外したが…。
既にマスターした、リュウガ、ソウシ、シン…。そして、リチャードに指導してもらい。
なんとか4人も、見られるものになっていった。
その日の夕方も、○○はエドワードに、あの湖に連れて行って貰っていた。
翌日に、戴冠式を控えた
その日の夜――
コンコン
「○○…、入るぞ…」
エドワードがドアを開けると、部屋の明かりは消えていた。
中を見渡せば、外の月明かりで、部屋の中が青白く照らしだされている。
ベットに人の気配がない事は、すぐにわかった
ふと、窓に目をやればフワッとカーテンが風になびいている。
静かに足を踏み入れたエドワードは、部屋の中程まできたところで、その歩みを止める。
そこに…
青白い月に照らされ、バルコニーでひとり佇む、○○の背中が見えた…。
「……○○」
しばらくその背中を見つめたあと、エドワードはその背中に声をかけた。
「……ん?」
その声にピクンとカラダを震わせ振り返る○○。
「……?エドワード殿下?」
驚いた顔を向ける○○の元へ、
ゆっくりと近づいたエドワードは、隣に並ぶように立った
「どうしたんだ?…眠れないのか?」
「ええ…。なんだか緊張してしまって…」
そう言ってエドワードを見上げた○○は、月明かりに照らされ、ハッとする程、妖艶に美しかった
・・