日本でマラリアが再流行するとは思えない。 (5)
ところで、ヒトはいつ、マラリアに感染するか?
それは、夜である。
なぜならば、ハマダラカは夜間吸血性だからである。
夜、ヒトは住居の中で寝ている。
だからこそ、マラリア流行には、住宅構造が関係しているのである。
そして、一般的に、マラリア流行地域では、住民は劣悪な住居に住んでいる。
実際、明治34年(1901年)、マラリアが流行していた北海道深川村(現在の
そのハマダラカは、20~30匹に、1匹の割合で、マラリア原虫に感染していた(軍医学校教官陸軍一等軍医ドクトル、都築甚之助・陸軍二等軍医、大町文興調査)。
つまり、屯田兵の兵屋は、50~60匹のハマダラカが屋内に侵入するような劣悪な住居だった。
また、2008年2月半ば、ケニア西部にあるビクトリア湖畔のスバ県のマラリアが流行する地域の伝統的な作りの住居
(土壁。6畳ほどの民家に、夫婦2人と子ども5人が生活している)に
白いシーツを敷き詰め、屋内に殺虫剤を吹きかけると、10分間で、100匹以上のハマダラカの死骸を採取できた(長崎大学ケニアプロジェクト調査)。
つまり、この地域の伝統的な作りの住居は100匹以上のハマダラカが屋内に侵入するような劣悪な住居である。
なお、2007年、国立感染症研究所ウイルス第一部部長倉根一朗は、
・マラリアの流行には、特に住宅構造が関係する。
・現在の日本の住宅構造を考えると、毎晩、多数の蚊に刺される可能性はほとんど考えられない。
・現在の日本のインフラストラクチャーを考えれば、自然災害などが重なってインフラストラクチャーが崩れるなどの変化が起きない限り、仮に地球温暖化が進んだとしてもマラリアが流行するとは思えない。
ということを主張した。
この点に関しては、私も同意見である。
そして、人口が増加し、地球温暖化が進んでいるのにも関わらず、昭和30年代と比較して、日本の気象災害による死者数は激減していることを考慮すると、地球温暖化が進行しても、自然災害などが重なって日本のインフラストラクチャーが崩れ、日本の家屋の大半が明治時代の屯田兵の兵屋や現代のケニア西部にあるビクトリア湖畔のスバ県のように、網戸もなく、50~100匹以上のハマダラカが屋内に入ってくるような家屋になるようなことは考えられないことなのである。
以上より、地球温暖化が進行しても、日本でマラリアが再流行するとは思えない。