(10) ドイツでは、冬でも、マラリアに感染?(1884年~1888年)
第18章 マラリア蚊媒介説に対する反論、及び、これらに対する再反論
なお、Grawitz氏の統計によっても、7月は、未だ、マラリア患者が減少したと認めることはできない。
8月、9月の両月において、マラリア患者は既に減少しているといっても、未だ、これを絶対的な反証とみなすことはできない。
なぜならば、蚊の多寡は、直ちに、マラリアの発生に関係なく、マラリア原虫伝播の要件を具備して、始めて、マラリアの発生に関係するからである。
そして、各瞬間におけるマラリア原虫伝播の要件がそろっているかどうかについては、到底、これを捕捉して、一々、明瞭にいうことはできないくらい、その関係は広いので、微妙な差は、私がもとより、説明することが困難である。
思うに、Grawitz氏が引用した統計中、さらに、これを各年に分ければ、毎年、多少の差異があるだろう。
再反論する。
Grawitz氏は、良く、その原因を挙げて、一々、これを説明することができるが、要するに、Grawitz氏の反論は、未だ、学理上の根拠を有する、私のマラリア蚊媒介説を動かすに足りないというべきである。
Grawitz氏は、また、晩年におけるマラリア患者数の減少を、諸種の原因を挙げて、説明した。
この説明は、皆、蚊発生の要件を奪うものであり、かえって、私のマラリア蚊媒介説に、一瞥の力を加えたものである。 |
↑『我邦ニ於ケル麻刺里亜蚊伝搬ノ証明』(都築甚之助,大町文興著。東京:都築甚之助,明34.10)(国立国会図書館のサイトの近代デジタルライブラリーで無料で閲覧できる)p 45-48を私が現代語訳したもの。
ちなみに、現在では、マラリアはハマダラカにより、媒介されることがわかっている。
もちろん、血小板輸血・医療従事者の針刺し事故などによって感染することもあるが、圧倒的多数のマラリアはハマダラカにより媒介される。