(3) ドイツでは、冬でも、マラリアに感染?(1884年~1888年) | 日本でマラリアが再流行するとは思えない。

(3) ドイツでは、冬でも、マラリアに感染?(1884年~1888年)

第18章 マラリア蚊媒介説に対する反論、及び、これらに対する再反論

(3) 春季、蚊の発生に先立ち、既にマラリアの発生をみるのは、何故か?という反論

【再反論】

蚊が、冬季、どこかで、越年するものであるのは、疑いのない事実である。

したがって、春季、蚊が未だ、発生しないというのは、まだ、人の注意を引かないだけである。

そして、1日の中で、気温が、既に、蚊体内における、マラリア原虫発育に適する温度を有する時間があるのは、疑いない。

マラリア新感染の機会が必ずしも、ないとは、断言できない。

まして、気候転換の季節であり、マラリア再発を招く誘因が多いのは、いうまでもない。

以上が、春季において、既に、多少、マラリア患者の増多が見られる理由である。

↑『我邦ニ於ケル麻刺里亜蚊伝搬ノ証明』(都築甚之助,大町文興著。東京:都築甚之助,明34.10)(国立国会図書館のサイトの近代デジタルライブラリーで無料で閲覧できるp 45-48を私が現代語訳したもの。

ドイツの話はかなり後の方に出てくるが、この章全体を、訳さないと意味をなさないので、そうした。

ちなみに、現在では、マラリアはハマダラカにより、媒介されることがわかっている。

もちろん、血小板輸血・医療従事者の針刺し事故などによって感染することもあるが、圧倒的多数のマラリアはハマダラカにより媒介される。

蚊が、冬季、どこかで、越年するものであるのは、疑いのない事実である。

と記載してある。

現在では、かつて北海道深川村(現在の深川市北海道旭川市の隣に位置する。北海道北東部には位置しない)でマラリアを媒介していた蚊の多くは、実際には

http://www.cdc.gov/Malaria/biology/mosquito/map.htm

(←色が塗ってある地域にハマダラカが生息している)

に記載されているシナハマダラカ(←シナハマダラカが主なマラリア媒介蚊であると思われていた時期も存在した)ではなく、オオツルハマダラカだったのではないかという説がある。

そして、オオツルハマダラカは、卵のステージで越冬すると考えられている。

近年、といっても20年以上前だが北海道では、上村1968)は「北海道で採集されたハマダラカ成虫の多くはオオツルハマダラカである」と記し、Oguma and Kanda1977)はこれに対して、分布は不均一で深川、岩見沢、伊達、八雲等と青森の蓬田では大部分がオオツルハマダラカだが、それ以外の北海道北東部ではengarensis当時はsinensis Eと呼んでいた)が中心だったという。

また長島ら(1979)は、北東部ではシナハマダラカとエセシナハマダラカが大部分で、オオツルハマダラカ0.6%にすぎなかったという。

実験室で卵を室温に放置すると冬を越して2-4月に孵化し発育をする。

こうした結果からオオツルハマダラカは卵のステージで越冬すると考えられている。

中国でも卵越年と考えているようだ。

↑『総説 日本列島のマラリア媒介蚊南西諸島を除く)』(栗原毅)(『衛生動物 第53巻 補遺2 平成14年7月15日』(Med. Entomol. Zool. Vol. 53 Suppl.2 p. 1-28 2002

ただし、出典は読みにくいので省略した。

20世紀半ばまで、オランダで、マラリアの主な媒介蚊は、Anopheles atroparvusであった。

当時、オランダでは、家畜小屋と、人間の住居の暖かい場所に隠れているAnopheles atroparvusは、冬期と、冷夏の間中、吸血し、マラリア原虫を媒介し続けていた

↑オランダあたりの出典をここで書くと、わずらわしくなるので、最後の方で記載することとする。

そして

http://www.cdc.gov/Malaria/biology/mosquito/map.htm

(←色が塗ってある地域にハマダラカが生息している)

によれば、今のドイツには、Anopheles atroparvusが生息している。