■七章

 

 

 

────わざと、天使の罠に嵌って落ちて行ったルトは天使にこう言っていた。

 

“ごめんね”

 

あのときはまだ、ルトの計画を知らなかったからその意味は解らなかったけれど。

 

今なら解る気がする。

 

きっと、君は天使を通して未来のエンド神に告げたのだろう。

 

酷い役回りをさせてごめんね、と。

 

俺も、君に一つ、謝らないといけないことがあるんだ。

 

 

 

 

 

 

「……ッごほ、…ごめんね、ルト。…ッ…君の、計画…狂わせちゃった…」

 

山奥に建つ、小さな小屋の中。

 

ほんの数分間意識を失っていた悪魔は薄く目を開き、ぼんやりとしか見えないルトの顔を見上げてそう告げた。

 

「………」

 

悪魔の謝罪に一瞬目を開くも、首を横に振って「いいや、君はよくやってくれたよ」と彼の髪を撫でる。

 

「疲れたでしょう。…もう、休みなさい」

 

エンド神の能力で悪魔の内臓はぐちゃぐちゃにされ、今こうして息をしているのが不思議な状態であるにも関わらずまだ動こうと試みている様子の悪魔を制止して、ルトは額にそっと口付けた。

 

悪魔は額に落とされた温かなモノに薄く笑むと、諦めたのか、

 

「…うん。おやすみ、ルト」

 

静かに目を閉じて、深く、深く、微睡みの中に沈んでいった。

 

それを見届けると「…沢山辛い思いをさせてごめんね」とまた髪をさらりと撫で、ルトは隅で休んでいたリピート神と紅茶神の方に向き合った。

 

「……計画って。一体何のことなんスか」

 

先程悪魔がそう漏らしたのをしっかり聞いていたのか、リピート神はじっとルトを見つめる。

 

「その話、俺も聞きたいなぁ」

 

「!!…全く気配が無かったんスけど、本当何者なんですか、アンタ」

 

驚いたように三人が入口の方に視線をやる。

 

そこに立っていたのは、どことなく胡散臭さが漂う青年、三神だった。

 

三神は「どうも!通りすがりのパリピでっす!」と手を上げて笑うと戸を閉め、ルトの側に腰を下ろす。

 

そんな彼をまじまじと見つめた後、ルトは真顔で言い放った。

 

「………。あまり僕も人のこと言えないけれど、その演技はどうかと思うよ、ルカ」

 

「ルカって…ええ?」

 

急に飛び出した神祖の名に、リピート神と紅茶神は困惑したように顔を見合わせ、一方三神は「あらら、バレちゃった」と悪戯に失敗した子供のように肩を竦めて、二人が瞬きした瞬間には本来の姿に戻っていた。