戦神ならば盾の一つでも持っているものではないのか、神々のそんな疑問にルトが答える。
「……戦神はその名の通り、戦いの神。人々に勝利をもたらすその力は、傷付かないための護りではなく奮い立たせるための攻め。中でも彼────マヌエルは攻めに特化し、大剣一本で今の地位にまで上り詰めているから、そんな彼のみが所持していると噂されていた絶対防御の盾を持って現れるのは、天使にとって大誤算なのだろうね」
戦神はルトを一瞥すると天使の問い掛けに答えた。
「俺が守るのは神祖の兄にあらず。神らしく、そして神らしくない…我が朋友、ゲドウ神だ」
「…………。そう、まぁ何だって構わないよ。私がやることは同じだから」
すっ、と天使は目蓋を閉じ。
不気味なほど穏やかな声音で神々に訊ねる。
「御前たちは、エンド神が持つ能力を知っているかな」
天使の右手に握られた槍が、禍々しい気の靄に包まれていく。
足元からぞわりと悪寒が走り、神々は本能的に「この場にいてはまずい」と固唾を呑んだ。
「今までは御前たちの茶番に付き合って結末…エンディングタイトルを告げるだけだったけれど。本来の能力は、強制的に己が望むエンディングタイトルを与えるもの。過去を変えることは出来ないけれど、まだ結末を迎えていないものなら何だってこの手で終わらせることが出来る。…つまり」
天使は左手で顔を覆い、ゆっくりと目蓋を開くと、狂喜的な笑みを唇に乗せて。
「絶対防御の盾にエンディングタイトルを与えれば、木端微塵。ルトの言う通り、御前がその盾を持ち出したのは誤算だったけれど、大した問題じゃない」
戦神が構える盾に向けて、槍を持ったまま突っ込んだ。
「御前の後ろにいるルトまで貫いてあげるよ。“Bad End:シールドブレイク”!」
ここで避ければ、確実にルトかリピート神に槍が突き刺さる。
何より、戦の神として敵に背を向けるなど出来るはずもない。
盾が破壊された瞬間槍を捕らえられるよう、戦神は全神経を集中させ、衝撃に備えた。
槍の切っ先が重く、鈍い音を立てて盾の中心に当たる。
次の瞬間には粉々に盾が粉砕し、戦神の腹を貫いた。
「クッ…!」
槍を掴み、何とか勢いを殺そうとするも戦神の後ろまで刃先はどんどん伸びていく。
クズ神、カス神も加勢しようと一歩踏み出したとき
「うわ…!」
「な、なに…!?」
神々に向かって全速力で飛んできた何かが、姉弟の腕を掴んで突如現れた時空の歪みの中に二人を放り投げた。
そしてすぐさま槍を受け止めるも、勢いを殺し切れていなかったからか鋭い刃先はソレの胸に深く食い込む。