本来、神はそう簡単には死なないように出来ているが、天使の持つ槍は神を殺すのに適した最悪の武器。
それに傷を付けられたことにより、直ぐに修復されるはずの傷口は閉じず、だらだらと血が流れ落ちていった。
ブログ神はリピート神に体を支えられながらぜぇぜぇと苦しげに呼吸し、急速に押し寄せる睡魔のような気怠さに目を閉じそうになる。
(……ここまで、か)
「…足手まといになるのは、ごめんだ…俺を、置いて…天上界を目指せ…!」
「何言ってるんですか!ブログ神も一緒に行くんですよ!」
今にも意識を手放しそうなブログ神の胸倉を掴んで、ユカ神は目に涙を溜めながら叫ぶ。
だけど、彼は直に消滅することを知っているからなのか首を横に振って
「立ち止まるな…!」
いつから持っていたのか、鈍色に光るナイフを片手に天使に突っ込んでいく。
「イズミ!」
(────まさか、またその名前を呼ばれる日が来るなんて)
天使の懐に潜り込み、フード越しにナイフを突き立てる最中で聞いた、人であった頃の名前。
どうして彼がこんな状況下で笑っているのか、心底理解出来ない天使はある種の恐怖を感じ、ナイフを避けると今にも消えそうな神を蹴り飛した。
「ぐッ…この…!」
ただではくたばらないと言わんばかりにフードを掴んで、ブログ神は側の山へ落ちて行った。
白亜の翼、頭上に浮かぶ紅い茨の輪、右足の黒い足枷。
柘榴の毒でなのか、白い髪は灰白色に変わり、赤い瞳は暗い光を灯している。
彼女の腰には、エンド神が被っていた銀の仮面が装飾のようについている。
全身を覆う物が無くなり、天使はようやくその姿を神々の前に晒した。