「神様の事情というのは人間である僕には正直よく分かりません、が…ゲドウ神さんの中でアナタの意識があった、ということは、その逆もあるのでしょうか」

 

「逆というと…今現在、彼女の意識が僕の中ではっきりしているか、ということだね。…残念ながらいま彼女は深い眠りに落ちているようだよ。意識を殆ど感じない」

 

「そうですか…では、一時的に入れ替わってしまったと仰っていましたけれど、アナタとゲドウ神さんが元の状態に戻るのはいつ頃になりそうですか?…というか、そもそも元に戻るんでしょうか」

 

ルトは顎に指を添えて暫し思案するように沈黙し、「いつになるか分からないし、元に戻る保障もない」と答えた。

 

「嗚呼でも…ハンナの目を覚ますのに必要な力があれば、或いは…」

 

「その力とは、魔力のことか。それとも、神性のモノか?」

 

戦神の問いにルトは首を横に振る。

 

「元々彼女の中にあった魔力と、神になってから得た神性の力。この二つは彼女の中で殆ど片寄ることなく、バランスが保たれていた。けれども、僕の意識が浮上したことにより神性の力の方に片寄ってしまっている。なら魔力をどこかから得てバランスを戻せばと、君たちは思うかもしれないけれど…そういう問題じゃないんだ」

 

「と、言うと…?」

 

神々の不思議そうな顔を一瞥し、ルトは続けた。

 

「ハンナが現在持っている力のトータルを十としよう。魔力、神性の力をそれぞれ五として。彼女自身が持つ神性の力というのは、初めは一なんだよ。人間としてはそれなりに有名だったけれど、神としてはまだ赤ん坊も同然。それ故に、彼女は神であってまだ神とは呼べない存在だった。けれども、それでは神として成り立たないでしょう?」

 

「ふむ…確かに、そうだ。神とは他者に生かされる者。だから誰もゲドウ神という神を知らない場合、ゲドウ神は神とは呼べないしそのうち消滅する」

 

「そう。彼女を神にするためにルカが四を与えて、神性の力を五に引き上げた。これが所謂、神祖の祝福というやつだ。因みに、君たちにもルカの神性の力が混じってるよ。戦神、だったかな。君はまた別物だから、ルカの神性はないけれどね」

 

無論だ、と言いたげに戦神は頷く。