彼等が探る様な目で彼女を見ていると、日暮が意を決したように半歩身を乗り出した。
「……勘違い、だったら、ごめんなさい……アナタは一体、だれ…?」
「………」
ゲドウ神とは違った柔らかな笑みを浮かべて、彼女は口を閉じ。
続けて?と言うように日暮に視線を向けた。
日暮は自信なさげに、ぽつりぽつりと続ける。
「……え、と…。かみさまは、僕のこと…“日暮ちゃん”とは、呼ばない…から…。あと、雰囲気もちょっと違う…気がする……」
「………」
部屋に入った時から黙って彼女を観察していたブログ神は、ここで先祖返りのことを思い出して日暮のあとに続き、問う。
「……あんた、もしかしてゲドウ神さんの前世の意識っていうか…人格、なんじゃないのか?」
「………」
彼女は暫く笑んだままでいたが、やがて降参、というように肩を竦めてみせると
「急に僕が目覚めてしまって、君たちはすごく戸惑うんじゃないかと思って。僕なりに気を遣ったんだけどね、やはり、僕にゲドウ神…ハンナを演じる才能なんてないみたいだ。ごめんね」
謝罪し、自分が何者なのか名乗った。
「初めまして、彼の祝福を得た子供たち。僕はルト。君たちが神祖と呼んでいる彼の兄であり、創世時代の残滓のようなものだ。……ふふ、久し振りに自分の名を口にしたから、何だか照れてしまっていけないな」
ルト曰く。
神祖ことルカとは双子で、二人はこの世界の始まりを築いた、謂わば二人で一つの神だったが。
創世時代を彩った創世神話の崩壊後、ルカは現在の天上界を創造するため空に留まり、空から落ちたルトはハンナ=ローウェルに生まれ変わった。
本来ならばこのままゲドウ神の深層の中で微睡みながら生きていくはずだったが、伊月奏との件や今回の襲撃の影響でゲドウ神とルトの人格が一時的に入れ替わってしまった、と。
「まぁ…微睡んでいたとはいえ、ハンナの目と記憶を通して外の世界を見ていたから、今の状況は大体理解しているつもりだよ。だけど、彼女の方は数日前まで僕を全く認知していなかった。これは多重人格の主人格と人格の関係性に似ている、という意味で、先祖返りではなく人格の入れ替わりと、そう表現させてもらったのだけれど……さて、ここまでで何か質問はあるかい?」
緩く首を傾げるルトに、神々と日暮は困惑した表情で互いの顔を見合わせる。
そんな中、深夜が口を開いた。