■二章
「朝早くから集まっていただき、ありがとうございます。昨夜の件に関することで、皆さんに話がありまして、彼に召集をかけてもらいました」
ゲドウ神が目覚めて約一時間半後。
霧谷家の住人、夜明、真昼が家を出てたのを見計らって、リピート神に呼ばれた神々と戦神、深夜、日暮は客室に集まった。
皆、最初は彼女の容姿に驚いたものの、今はそこには触れて良いものか分からず、黙って彼女を囲むようにして床に腰を下ろす。
全員が座ったのを確認すれば、ゲドウ神は怪我をしているとは思えないほど穏やかな口調で話し始める。
「昨夜、日暮ちゃんと留守番をしていたときのことです。突然、何者かが家の外から襲撃、私はあの子を庇い傷を負いました。犯人の姿は見ましたが、顔が隠れていたので誰かまではわからず。しかし、恐らくですがアレは私を最初から狙っていたのではないかと。…まぁ、はっきりとしたことは今の段階ではわかりませんが」
小さく溜め息を吐くと、彼女は続ける。
「エンド神のこともありますし…暫く、皆は固まって行動をするか、定期的に連絡を取り合うのが良いかもしれませんね」
「皆は?その言い方ですと、師匠はその中に含まれていないようですけど?」
妙な引っ掛かりに思わずユカ神は声を上げ、紅茶神は心配そうに「まさか、ゲドウちゃんは暫く単独行動をするなんて言い出さないわよね?」と眉尻を下げた。
「………。無関係な人の子を巻き込むわけにはいきませんから、ね」
ゲドウ神は思案するように沈黙し、深夜と日暮を一瞥すると、昨夜のことを気にしてか目を伏せる。
「だからっていまゲドウちゃんが単独行動するのは一番危険じゃない?」
「それはまぁ…なのでその辺りもちゃんと考えてあります。…天上界に私の屋敷があるので、そこに引き籠ろうかと」
神祖の祝福を受けた神々の中でも序列が一番高いゲドウ神は、神になって直ぐ天上界に屋敷を与えられている。
そのことを知っているのは天上界に住まう戦神くらいなので、彼以外の神々は目を丸くし驚いた。
それと同時に、何故だろう。
この場にいる全員が、彼女の声音や表情、言葉に僅かだが違和感を感じていた。
まるで、“ゲドウ神”の皮を被った得体の知れない何かが彼女の声帯を使って喋っているような……。