ブログ神が準備を始めた頃。

 

霧谷家に残ったゲドウ神は、留守番をしている日暮を一人にするのもどうかと、リビングで一緒に絵を描いていた。

 

「神様、見て…うまく、かけた…」

 

納得のいく出来に仕上がったのか、日暮は満足気な表情で隣に座っているゲドウ神に絵を見せる。

 

「本当、上手ですねぇ」

 

「神様の、絵…芸術的…?すごい…」

 

「ふふ、そうですか?」

 

美術の教科書に載っているような絵のタッチで描かれたプラチナブロンドの女性を暫し見つめると、日暮は

 

「こういう絵、描いてみたい…から、…今度、教えて…」

 

目を輝かせてゲドウ神を見上げた。

 

「ええ、構いませんよ」

 

「わーい…ありがと…」

 

僅かにだが顔を綻ばせる日暮の頭をわしゃりと一撫でし、少し就寝には早いがそろそろ彼女を寝かしつけようかとゲドウ神が時計に視線をやった、そのとき。

 

「!」

 

千里眼が数秒後の未来を映し、ゲドウ神は日暮の服を掴んで自分の後方まで力一杯引き寄せると、窓際を見据え立ち上がるために腰を浮かせた瞬間。

 

ズブリ。

 

「……ック」

 

窓ガラスを突き破って、、青白い光を纏った何かが嫌な音をたててゲドウ神の右胸を貫いた。

 

割れた窓から外気が流れ、カーテンがぶわりと舞う。

 

その向こうに、彼女を貫いている長槍を持ったフードの人物が浮いているのが見え、逃がすまいと唇から流れ出る血など気に留めず左手で槍を掴んだ。

 

「……ッハァ、一体どこの、どなたです…」

 

「………」

 

最近よく怪我をするな、と呑気に考えながら、見覚えのあるフードに包まれた人物を睨むゲドウ神。

 

フードの影で顔は隠れ、表情が全く分からない。

 

数拍の間を開けてから、ソレは口を開いた。

 

「貴女に用はありません」

 

「さようなら、紛い物の神様」

 

変声期前の少年のような、或いは無感情な少女のような声音。

 

(………彼に少し似ているけど、違う…?)

 

槍を引き抜かれ、仰向けに身体が倒れる。

 

ソレは彼女が倒れると、興味を無くしたように背を向けて飛び去った。

 

一体何が起きたのか、全く頭が追い付かない日暮は放心状態で倒れたゲドウ神から広がっていく血溜まりを眺めていたが、玄関の扉が開いた音にはっとして急いで駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

「か、神様…!外道の神様、血が…!」

 

リピート神が霧谷家に戻ると、彼の元へ血相を変えた日暮が駆けて来た。

 

「血?」

 

ただならぬ雰囲気にリピート神と彼の後ろにいたブログ神は土足で廊下の先のリビングに足を踏み入れる。