■一章

 

 

 

春の陽光に照らされて、花々は鮮やかに咲き踊っては香り、冬を越すために眠っていた生命はゆるりと目を覚ます。

 

そんな季節に開かれる神々の御茶会は、さぞ華やかなことだろうと、エンド神は明日の御茶会を心底楽しみにしていた。

 

 

 

 

 

 

神々の御茶会会場、紅茶神の部屋。

 

人数分の紅茶を運びながら、紅茶神はふう、と息を吐いた。

 

「エンドちゃん、欠席みたいね。あの子、春の御茶会は今回が初参加の予定だったから、本人が一番楽しみにしていたでしょうに…どうしたのかしら」

 

「さぁ。急用でも出来たのでは?ほら、毎年春になるとどこかに出掛けているようでしたし」

 

桜の仄かな香りに頬を緩め、どこか落ち込んでいる風の紅茶神とは対照的にゲドウ神は機嫌良さげにティーカップを傾ける。

 

彼女の両隣に座るクズ神、カス神はテーブル上に並んだ様々なピンク色の菓子を片っ端から摘まみ、きゃっきゃっとはしゃいでいた。

 

そんな二人の皿にゲドウ神は自分の分のイチゴをそっと乗せてやると、リピート神の方に視線をやって

 

「エドワード」

 

特に用はないが、呼んでみた。

 

「………!……、はい、どうしました?先輩」

 

一瞬、リピート神は固まるも直ぐにいつものようにへらりと笑って答える。

 

彼の表情の変化を最初は理解出来なかったゲドウ神だったが、直ぐにはっとして

 

「……嗚呼いえ、大したことではないのですが。この後、エンド神に土産でも持って行ってやりませんか?」

 

若干バツが悪そうに視線を逸らしつつそう提案した。

 

「良いッスね、そうしましょうか!」

 

「あら、それじゃあ御土産用に包んでおくから帰りに持って行ってちょうだいね」

 

「はい。あ、あと深夜くんたちにもちょっと持っていきたいんスけど、いいッスかね?」

 

「勿論良いわよ、そっちも包んでおくわね」

 

「ありがとうございます」

 

リピート神と紅茶神のやり取りをぼんやりと眺めると、ゲドウ神は欠伸を噛み殺し、ふと窓の外で桜の花びらが舞っているのが視界の横に入ってそちらを見た。

 

ゲドウ神の正面に座っているブログ神は、彼女の様子が少しおかしいことに気付くも、暫く様子を見ているだけに留めて苺タルトを口に運んだ。

 

 

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