青年───ウォーレスはそう名乗り、片膝をつく。

 

フェリシア、エリスもそれに続く。

 

「貴方が神の御一人であることは分かっています。本来、我々のような者が気安く口を利いていい相手でないこと、重々承知ではありますが。我々はどうしても会わねばならない人物を探しております。ですのでこのような無礼をお許しいただきたく、また、ほんの少し我々に力を貸していただければと」

 

「………」

 

(初めて神様らしい扱いされたもんだから、自分が神だってこと忘れてたは……)

 

彼らがヴァンパイアだと名乗ったことよりも自分を神として見ていることに驚いたブログ神は、何だか警戒し続けるのも馬鹿らしく思え

 

「いいよ、答えられる範囲答えよう」

 

固い表情を崩した。

 

「ありがとうございます。……その、女性なのですが。こちらに住んでいらっしゃるので?」

 

「いや、訳あってエリスさん?にここまで連れてきてもらっただけで、住んでるのはここじゃない」

 

「では、その方の居場所を教えていただくことは…」

 

「んー…あの人、勝手に教えたら多分怒るから。でも、ヒントはあげられるか」

 

「と、言いますと?」

 

「生前の名前は知らないけど、あの人はいま、こう呼ばれてる。────」

 

 

***

 

 

「ゲドウ神……」

 

ブログ神の家を後にして。

 

近所の公園のベンチに腰掛けて、エリスはぽつりと呟いた。

 

兄と姉は用事があるからとどこかに行ってしまい、また平日の昼間だからか公園には彼一人しかいない。

 

「結局会えなかったけど、少し前に進みましたね」

 

エリスは幼少の頃に何度も祖母から読み聞かせられた御伽噺の姫に想いを馳せ、僅かではあるが情報を手に入れられたことに満足気な表情を浮かべた。

 

────公園のすぐ近くを、人の子と並んで歩いている“姫”の気配に気付かずに。