ゲドウ神がリピート神を連れ帰ってから数週間経った、ある日。

 

「あれはまさに、白馬に乗った王子様でした…」

 

「………」

 

「そして!あれは絶対に師匠と同じ隠れサディストタイプです!」

 

「………」

 

「嗚呼!どうしてお名前を伺わなかったのか、己の無能さには呆れ果てモノも言えません!」

 

「………」

 

「……。何ですかその心底どうでに良いと言わんばかりの沈黙は!」

 

ブログ神の部屋で先日出会った“謎のイケメン”の話を延々とエンド神に聞かせていたユカ神は、先程から沈黙を続けているエンド神を不審に思い、両肩を掴んで軽く揺さぶった。

 

するとエンド神はがくがくと揺らされながら

 

「……少し寝ていた」

 

申し訳なさそうに、仮面の奥からユカ神をじっと見る。

 

「今寝てたんですか!?全くもう、仮面のせいで全然わからなかったじゃないですか!」

 

ぽこぽこ怒りながらエンド神の前にクッションを置いて座ると、また話の続きをと口を開きかけたとき。

 

「……あら、お客さんみたいですね。まぁ、ブログ神が出てくれるでしょう」

 

ユカ神はインターホンの音を聞くやいなや、立ち上がって窓際へと近付いていく。

 

「………」

 

そんな彼女を眺めながら、一階で「はいはい、ちょっと待っててくださいね」と応えるブログ神の声を聞き、エンド神は“客人”の気配が気になって静かにブログ神の部屋を後にした。

 

 

***

 

 

「突然すみません。あの、以前うちの弟が、こちらのお宅まで体調を崩した女性を送り届けたと聞いたんですが」

 

リビングで先の一件についてリピート神を説教していたブログ神が玄関を開けると、プラチナブロンドに赤目の、男女の双子らしき二人と、黒髪に赤目の青年が立っていた。

 

その出で立ちは何処か数世紀前の英国紳士……いや、英国の異形を思わせるもので、ブログ神は目を細める。

 

神々の中には他種族の気配に敏感な者が三人いる。

 

一人はゲドウ神。

 

一人は二階からじっと下の様子を窺っているエンド神。

 

そしてもう一人は、ブログ神だった。

 

故に、ブログ神には目の前の青年たちが人間の姿に化けた“何か”に思えるのだ。

 

一体異形がマイナー神の家に何の用が、と訝しげに思いながら答える。

 

「はい、確かに身内の者が、後ろの黒い髪の方にはお世話になったようですが……」

 

双子の片割れらしき青年は

 

「その女性についていくつか伺いたいことがあって参りました」

 

恭しく頭を下げ、警戒している様子のブログ神を見て微笑んだ。

 

「はぁ。質問の内容によっては黙秘しますけど」

 

「……そう警戒しないでください。我々は、ただ質問をしたいだけで害を与えるつもりは微塵もない」

 

「そう言われてもね。得体の知らない者を警戒するのは当然かと。俺はちょっとそういうのに敏感なので、アナタ方が一体何なのか名乗ってくれないとどれもこれも嘘に聞こえてしまう」

 

「……、それもそうですね。大変失礼しました、私はウォーレス=ローウェル。そしてこの二人はフェリシアとエリスです。我々はある方を探すために日本まで来た、ヴァンパイアの一族の者です」