■赤薔薇の英雄

 

 

ハンナ=ローウェルが処刑されてから二年経った頃。

 

レイモンド騎士団に、一通の手紙が届いた。

 

 

 

 

『 拝啓 ハンナ様

 

お久し振りです。

あれから数年の時が経ちましたが、お元気でしょうか。

あのとき、危険を顧みず、他国である我が国を海賊から守ってくださりありがとうございました。

お陰様でこの国は豊かさと平和を取り戻し、民は安心して生活しています。

貴女は英国の誇り高き騎士であり、セイレシア王国の英雄です。

このご恩、一生忘れはしません。

我々に出来ることは少ないでしょうが、何かあれば頼っていただければと思います。

 

追伸

今年の茶葉はとても品質が良いため、ローウェル邸の方に送らせていただきますね。

 

 

セイレシア王国第十九代女王

ユリエラ=オールフィンセンス 』

 

 

 

 

 

 

手紙を読み終えると、フェリックスは寂しげに笑んで呟いた。

 

「私たちは、知っていました。貴女が英雄だったこと」

 

「弟子である私は、とても誇らしい」

 

────ふわりと、彼の鼻腔を薔薇の香りがくすぐった。