殺気立つゲドウ神の視線を受けながら奏は

 

「君のナイト、結構君の事となるとチョロいね。おかげで直ぐにオチてくれたよ」

 

リピート神を小馬鹿にするように言った。

 

「言いたいことは、それだけか」

 

ふっ、とゲドウ神の姿が消える。

 

次の瞬間、奏は飛び蹴りを食らい教会の一番奥まで吹っ飛ばされて、衝撃音と共に崩れる壁の残骸に埋もれた。

 

「……がはっ、」

 

「神の逆鱗に触れて、まさか生きて帰れるだなんて思っていないでしょうね。ええ?」

 

ゲドウ神は残骸の中に腕を突っ込んだかと思うと、奏の首を掴んで引っ張り出し、そのままぎりぎりと締めていく。

 

―――――と。

 

バァン、

 

「ッ、悪魔の催眠というのは厄介ですねぇ…」

 

背後から脇腹を撃ち抜かれ、ゲドウ神はその場で片膝をつく。

 

締め付ける力が緩まった隙に奏は彼女の手から逃れ、

 

「神同士の殺し合いっていうのもなかなか面白そうだよね」

 

銃を握る左手を、右手で抑えてゲドウ神から焦点をずらそうともがいているリピート神の傍へ寄って口角を上げた。

 

「クソ、手が勝手に…!先輩、避けてください…!」

 

奏が体の自由を奪い操っているのか、リピート神は己の意思に反して再び銃口をゲドウ神の背に向ける。

 

バァン、バァン。

 

二発の銃声音。

 

それを合図に、宙を漂っていた悪魔たちも彼女に向け魔力を圧縮した赤紫色の弾を人差し指から飛ばし、一気に仕留めにかかる。

 

「ッ、先輩!」

 

魔弾の雨が彼女に降り注ぐ。

 

リピート神は脳裏に嫌な想像が浮かび、それを振り払うように固く目蓋を閉じた。

 

「戦場において、目を閉じた者から死ぬ。昔、ちゃんと教えたでしょう?」

 

間近で聞こえたゲドウ神の声。

 

刹那、彼女の手の平がリピート神の顔を覆い、彼が驚いて目を開くと白く長い指の隙間から見える赤い瞳と視線が合った。

 

「“消し飛ばせ”」

 

そう、短く唱えた瞬間、奏の催眠が解けてリピート神の体から力が抜ける。

 

握られていた銃がするりと滑り落ちると前のめりに倒れそうになる彼を受け止めれば

 

「帰ったらお説教ですよ」

 

どこか呆れたような声音で囁いてすぐ側の壁に座らせた。

 

「ゲドウ神!」

 

「あら、アレは戦神かな?どうしてこんなところに…」

 

息を切らしてゲドウ神の元へ駆け寄る部外者の姿を眺めながら奏は呟くも、「ところで…」とゲドウ神に先程から気になっていることを問いかける。

 

「ねぇ、ハンナ。魔弾はともかく、ナイトが撃ったのは銀の弾なんだけど。しっかり食らっているはずなのに、なんでまだ動けるんだい?」

 

「……?何を言って、」

 

「いやだって、君は元々人間とヴァンパイアのハーフでしょう?なら、今は神と云えど、ヴァンパイアの方の魔力をそれだけ持っているなら銀の弾はしっかり効くと思うんだけど」

 

「は?」

 

ゲドウ神は奏が何を言っているのか分からないというような表情で、声を上げた。