人間の絶叫。
悪魔の狂笑。
骨が砕け、躰が弾ける音。
不協和音が、神聖な教会内で響き渡る。
(嗚呼、煩い…)
足元で必死に命乞いをする男に銃口を向ける。
引き金に指を掛けたとき、男は怯えながら叫んだ。
「悪魔め!御前に神の裁きが下らんことを!」
バァンッ
「……バーカ、俺があんたらの言う神だっつーの」
無感情に、リピート神は呟いた。
***
奏が教会に顔を出した時には全てが終わったあとだった。
「あは、神が祭壇を赤く染めるなんて!皮肉にも程がある!いいよ、最っ高!」
何がそんなに可笑しいのか、けらけらと愉快そうに笑う奏をリピート神はぼんやりと眺めながら、頬にべっとりとついてしまった返り血を服の袖で拭っていると。
防音と、部外者が立ち入れないようにと悪魔たちが教会全体に張った結界が砕ける音、それに続いて正面の重厚な扉が鈍い音をたてながら開いてゆく。
コツリ、コツリ、
人間達が流した血の海を、膨大な魔力を包み隠すこともなくゆっくりと歩いてくる長い黒髪の女。
彼女の、鮮血の赤に濡れた瞳を見た悪魔たちはゾクリとして身を小さく震わせ、思わず後退る。
そんな彼らには目もくれず、女―――ゲドウ神は周囲を見渡したあと、口を開いた。
「エドワード。これは一体どういうことか、説明なさい」
リピート神が催眠にかかっていることには無論気付いている、しかしここまで己の意思で動いていることも分かっているゲドウ神は、冷たい声音で静かに問いかける。
彼女がここに現れると思っていなかったのか、リピート神は若干狼狽えながらも彼女をしっかりと見据えた。
「……先輩が生きていた頃の記憶を無くしたのも、死んだのも。全部、異端審問官や先輩の親友のせいだって、知ったんスよ。だから俺が復讐しに、」
「――――私は記憶を無くしていないし、復讐も望んではいない」
「……え?」
はっきりと“復讐は望んでいない”と言い切られ、パニックに陥る。
そんなリピート神に追い打ちをかけるように、ゲドウ神は
「御前はそこの悪魔にまんまと唆されたんですよ」
真実を告げ、彼の後ろでにやにや笑っている奏に視線を動かした。