薔薇屋敷、演奏会。
不定期でメイド長、美影がピアノ演奏をするミニイベントがあり、今日がまさにその日なのだが。
「美影さんが体調不良で休み…」
欠勤の連絡を受けた綾斗は直ぐに、既に出勤している使用人たちに伝え、どうしたものかと思案する。
「美影さんの他にピアノ演奏できる使用人は確かいなかったはず。困りましたねぇ」
うーん、と顎に指を添えて首を傾ける深夜。
「執事長、何か楽器出来ないんですか?」
「私は聴く専門で演奏は全く…」
「へぇ、意外。何か色々出来そうなイメージあったんですけどね」
「おや、それはご期待に添えず申し訳ない」
奏の言葉にそう返し深夜が肩を竦めたとき。
「…あの、」
いつからそこにいたのか、まだシェフコートに着替えていない結希が神妙な顔で口を開いた。
***
「…まさか、結希さんがフルートを吹けるとは」
演奏会が始まり、演奏の邪魔をしないよう静かに食器を運びながら刹那は呟く。
その呟きが偶然耳に入った客人───ブログ神は、神々の前だというのに思わず頬が緩んでしまった。
「どうしたんだい、ブログ神」
「嗚呼、いや…フルート、上手くなったなぁって」
「うん?あの娘を知っているのかい?」
「知ってるっていうか…俺の姪なんですよ」
「!?」
衝撃的な事実がブログ神の口から零れ、思わずサカダチ神とブログ神の方をばっと振り返るユカ神とクズ神、カス神。
「は?一緒に住んでて一度もそんな話は聞いてないんですけど?ていうかブログ神って結構最近神になった感じです?」
「あー、割りと最近、なのかも?」
「...あ!もしかしてうちの表札の北條って、」
「ん、俺の名字だけど」
「やっぱり!」
(縁とは、どこで繋がっているか分かりませんね)
神々の会話を無言で聞いていたゲドウ神は彼等を一瞥すると紅茶を一口含み、思う。
そんな彼女に、いつの間にいたのか、奏が囁く。