「………」
目を開くと、見覚えのない天井がまず最初に見えた。
腹部に重みを感じて体をゆっくり起こすと、ユカ神が腹の上でうたた寝をしている。
「…んん、ししょう…?っは、ブログ神!師匠が起きました!」
興奮したようにユカ神はすぐ傍で本を読んでいたブログ神の方をばっと向くと、ブログ神は軽く彼女の頭を叩いて「病人の前で騒がない」と窘める。
「気分はどうですか?気持ち悪いとか、ユカのせいで耳が痛いとかないですか?」
ゲドウ神は全身の神経に集中し不調を探ってみるが、直ぐに
「大丈夫そうです」
首を横に二、三度振った。
「あの、何故私はユカ神の部屋で寝ているんですか?」
「師匠、覚えてないんですか?火事現場で子供を華麗に救出したあとぶっ倒れたんですよ?全くもう、師匠が体調悪くしているところを見たことがないもんですから、びっくりしすぎて口から心臓が飛び出ちゃうかと思いましたよ」
「おやまぁ。君がここまで運んで?」
「いえ、私が運べたら良かったんですけどちょーっとか弱すぎて師匠を背負うのは無理だったので…通りすがりのイケメンが声を掛けてくださって、師匠を運んでもらいました」
「通りすがりのイケメン、ねぇ?」
ユカ神はどうだったか分からないが、少なくともゲドウ神の姿は人間には見えないようになっていたはずだ。
なのに、その通りすがりのイケメンとやらは彼女を視覚的にしっかり認識し、ブログ神の家まで運んだ。
つまり。
「人間、ではなさそうですね」
ぼそりと呟くと、しっかり聞こえていたのか、ユカ神は
「私は気配とかそういうのはよく分からないので何とも言えないんですけど、あの、そのイケメンさんちょっと師匠とオーラ?とか顔が似てました。いやでも、喋り方が師匠みたいだったからそう見えただけなのかも、ですけど」
と、思い出したように報告をした。
「あー…まぁ、その話はあとでゆっくりするとして…ユカ、ちょっと席を外してくれないか」
ブログ神がこほん、とわざとらしく咳払いをしてみせる。
「はい?何でです?」
「診察結果をゲドウさんに伝えるため。個人的なことだから御前は外で待機」
「むむ…そういうことなら、仕方ないですね。あ、師匠ごめんなさい。ブログ神、昔医者だったみたいなんで、師匠の体に異常とかないか診てほしいってお願いして師匠が寝てる間にちょっと診てもらってたんですよ」
珍しく申し訳なさそうに視線を彷徨わせて謝罪するユカ神。
ゲドウ神は、彼女が純粋に自分の身を心配してくれてのことだと理解しているため
「ふふ、謝らなくてもいいですよ」
口元に笑みを乗せた。
それに安心したのか、ユカ神はすっかりいつもの調子で「それじゃあ師匠とブログ神が話している間、エンド神で遊んできますね!」と部屋を飛び出して行った。