「久しぶりですね。…まぁずっと近くで見ていたので私は久しいという感覚ではないのですけれど」
やっと彼女に会えた喜びでなのか、それとも傷口から血が流れ過ぎて感覚が麻痺しているからか。
相変わらず呼吸はし辛いものの、痛みはもうあまり感じず。
エドワードは唇を噛み締め、目頭から溢れ落ちるものを隠そうと腕で目元を覆った。
『……やっぱり見てたのか』
「勿論。私はお前を気に入っているので、ずっと見守っていましたよ」
『…酷いこと言ったのに…?』
「あんなの可愛いもんですよ。私は気にしていない。けれど私が傍にいては、もっと辛い思いをするかもしれない。そう思って、姿を隠していました」
『そんなことない』
震える唇が動く。
彼はしっかり話せていると思っているのだろう、しかし声を出す力はもう彼にはなく。
エドワードの思考を読みながら、ゲドウ神は言葉を返していた。
それに気付かずに、エドワードは続ける。
『…ムシがいいのはわかってるけど、昔みたいに傍にいてほしい。俺を一人にしないでほしい』
「………」
ゲドウ神は、徐々に無くなっていく体温に目を伏せ、死へと近付いていることを悟るが、彼が幼かった頃よりも柔らかく微笑んで頷いた。
「それが君の願いなら、叶えてあげよう。私は“神様”ですからねぇ」
「ちゃんと、最後まで届きましたかね」
幸せそうに口元に笑みを浮かべて眠る青年の頭を撫でながら、誰にともなく呟く。
彼女の耳には、雨音と、此方へ近付いてくる何者かの足音だけが響いていた。