■序章

 

 

 

一人、夜の街に響く雨音に耳を傾けていると自分がまだ人の子だと呼ばれていた頃のことを思い出す。

 

記憶の中の彼女は今よりも冷ややかで静かな目をしているが、本質は温かくて誰よりも優しいヒトなのだろう。今ならよく分かる。

 

――― 嗚呼、それにしても。

 

この国は本当によく雨が降るな。

 

英国の、ある教会の窓際で、止まない雨音を背に青年はそっと双眸を閉じた。