ある日の午後。

 

ベッドの上に座っている狼の耳を生やした青年――ヴォルフェは、ぼーっと部屋の調度品を眺めながら先程から自分の首筋を甘噛みしている部屋の主、エリスに訊ねた。

 

「なぁ、エリス。噛むのはいいんだけど…」

 

「ん?」

 

「血、欲しくなんねぇの?」

 

首筋から唇を離したエリスは一拍間を置くと「別に」とだけ答え、また甘噛みを始めようと口を開いた、のだが。

 

「はい、終了。今度は俺の番ねー」

 

エリスを押し倒し、覆い被さる体勢でヴォルフェは彼の首筋をがぶりと噛んだ。

 

「おい。まだ僕の時間は終わってませんよ」

 

「んぁ?後でまた噛ませてやるから大人しくしてろって」

 

「全く、仕方ないですね…」

 

溜め息を吐きつつも大人しくしているエリス。

 

それに機嫌をよくしたのか、ヴォルフェは鼻歌を歌いながらブラウスのボタンを外していき、エリスの肩に牙をやんわりと突き立てる。

 

そんな、傍から見たら誤解されそうなじゃれ合いを延々と繰り返す二人を扉の隙間から覗いていたローウェルの双子は

 

「フェリシアよ。毎回思うんだが、彼奴等デキてんのか?」

 

「……、異種族交流じゃない?」

 

「異文化交流ねぇ…確かヴォルフェは狼族だったか」

 

「ん。僕たちもかじかじ、する?」

 

「しない」

 

ひそひそと話しながら、扉から離れてリビングへと歩いて行った。