神々の御茶会会場。
「……リピート神、それ本気で言ってるんですか?」
先程までの賑やかさが嘘のようにしんと静まり返り、低い声で呟いたユカ神と彼女をじっと見つめるリピート神に神々の視線は注がれる。
リピート神はふんぞり返るような姿勢で座ったまま「勿論ッスよ。お孫様こそ本気ッスか?」と彼にしては珍しく冷笑を浮かべた。
「そうですか…リピート神の考えはよーくわかりました……表出ろです年中無休ストーカー野郎!!」
「ああ?上等だ、俺に喧嘩吹っ掛けるとはいい度胸だなくそがき様!」
ユカ神に胸倉を掴まれるも、その腕を捻り上げて窓の外にぶん投げ、リピート神は外に出て行った。
二人の背を見送ると、
「珍しいよね、あの二人が本気の喧嘩なんて」
「こだわりが強いからね、それぞれ。ほら、ゲドウ神のことになると余計にさ」
紅茶神の両サイドに座っていたクズ神、カス神が愉快そうに笑いながら紅茶のおかわりを注いだ。
些細なことで直ぐに喧嘩をするリピート神とユカ神だが、今回のような“本気の喧嘩”をしたことはない。
何故、こうなったのか。
それは約十分前に遡る。
***
約十分前。
二人はゲドウ神のファッションについて話していた。
「師匠は何着ても綺麗だし可愛いと思うんですけど、最近すごく着てほしいジャンルがあって」
「奇遇ッスね、俺も先輩に着てほしいジャンルの洋服があるんスよ」
「あ、じゃあせーので言いません?」
「いいッスよ、せーの…」
「甘ロリ!」
「スチームパンク!」
「……ほうほう、リピート神はスチームパンクですか。良いんじゃないですか?ただ師匠の魅力を引き出すにはちょっと弱いと思いますけど」
「そうッスかね?お孫様のは逆に先輩の魅力を殺しかねないと思うんスけど。ていうかそれ、自分が着たいだけじゃ?」
「確かにそれもあるので否定はしません。でも魅力を殺しかねないという部分は聞き捨てなりませんね。黒髪ロングヘアーにレースとフリルたっぷり真っ白なワンピース!淡いピンクのドレスなんかも師匠なら余裕で着こなせるはず!」
「いやいや、レースやフリル、リボンが多いロリータ系のデザインは先輩の身長や雰囲気を考えると駄目ですって。ドレスならいけそうだけど、それじゃあ動き辛いッスよ。全く、もうちょっと先輩のこと考えないと駄目ッスよ」
「そうやって何でも師匠のことわかってます感、前々からうざいです。私よりも遥かにお二人の付き合いが長いことは分かっていますけど、そういうの良くないですよ?そんなんだからこの間戦神に師匠を取られたんじゃないんですか?」
「うっ…戦神の件は関係ないッスよね?それ言うなら俺も言わせてもらいますけど、あんたの我が儘で人に何かを押し付けるとこ好きじゃないッス。先輩が優しいからってちょっと調子に乗り過ぎじゃないッスか?そのうち嫌われちゃいますよ?」
……と、こうして今に至る。