ある日の昼過ぎ。

 

「やれやれ、またか…」

 

本やティッシュ、クレヨンなどが散乱した部屋を見回し、エンド神は本日何度目かの溜め息を漏らすと部屋のどこかに隠れているであろう人物に声を掛けてみる。

 

「あーくん、出てくるんだ」

 

しかし、反応は返ってこない。

 

「…仕方ない…彼女に頼んでみるか」

 

できればこの手段は使いたくなかった、と携帯を取り出し、エンド神はある神に電話を掛けた。

 

そして、数十分後。

 

「まさか、引っ越し先がここだったとはねぇ」

 

エンド神からSOSを受け取ったゲドウ神は彼の自宅に入ると、まじまじと室内を見た。

 

一ヵ月程前、エンド神は隣町からサカダチ神や紅茶神たちが住んでいるマンションに越してきたため、ゲドウ神が彼の新居に足を踏み入れるのはこれが初めてだ。

 

「詳しく話を聞かせていただきましょうか」

 

挨拶もそこそこに、例の、見事に荒らされた室内に入ってぐるりと見渡しながら、後ろにいるエンド神に呼ばれた理由を訊ねる。

 

 

***

 

 

エンド神の話によると。

 

引っ越してきた初日から、彼の隣に住んでいるという女性がエンド神を気にかけてくれ、彼を見掛ける度に声を掛けてくれるという。

 

そして今ではお互いに夕食を御裾分けする仲になったと。

 

一昨日、その女性は親戚の子供を一週間ほど預かることになったが、働いている身なので昼間は面倒を見れず、かと言って留守番させるにはまだ幼いから心配だし可哀想だとエンド神に話し。

 

こう見えて結構お人好しなエンド神は、彼女が仕事に出ている時間、その子供の世話役を買ってでた。

 

「だけど子供の面倒を見たことがなく、扱いが分からず手を焼いていると」

 

一通り事情を聞くと、ゲドウ神は部屋の中心で愉快そうにクッキーをかじった。

 

「で?私に何をしてほしいんですか?」

 

「……と、いうと」

 

「子供の扱いが上手そうな紅茶神とサカダチ神ではなく、あえて私を呼んだということは。彼等がやりそうなこととは違う、何かをしてほしいのでしょう?では、その何かとはなんですか?」

 

「……」

 

言われてみて、考える。

 

霧谷家の子供たちの面倒を見てきているとはいえ、彼女は特別子供が好きなわけでもそういうのが得意なわけでもないだろうに、何故、同じマンションにいるあの二人ではなくわざわざゲドウ神を呼ぼうと思ったのか。

 

彼女に一体何を期待しているのか。

 

考えてみても時が過ぎるだけで、答えは一向に出てくる気配がない。

 

その様子を暫しじっと見つめたあと…ゲドウ神は小さく溜め息を吐いた。